──保証債務の性質
今回は「保証」と「連帯保証」である。法改正がメインなので網羅的ではないが、次の3つの性質は理解しておく必要がある。
【付従性】
主たる債務が成立しなければ保証債務も成立せず、また主たる債務が消滅すれば保証債務も消滅する。
【随伴性】
主たる債務が譲渡されると、それに伴って保証債務も移転する。
【補充性】
保証債務は、主たる債務が履行されない場合に履行すべき債務である。そのため保証人には、補充性として次の2つの抗弁権が認められている。
〈催告の抗弁権〉
保証人が債権者から請求を受けた場合、まず「主たる債務者に請求せよ」と主張することができる。
〈検索の抗弁権〉
主たる債務者に弁済の資力があり、かつ執行が容易なことを証明できれば、債権者はまず「主たる債務者の財産について」執行しなければならない。
*連帯保証人に補充性(催告の抗弁権と検索の抗弁権のこと」は認められず、また「分別の利益」もない。
主たる債務者に生じた事由は原則として保証人や連帯保証人にも影響するが、保証人に生じた事由が主たる債務者に影響するのは、弁済(履行)など主債務を消滅させる行為だけだ。
そして連帯保証人に生じた事由が主たる債務者に影響するのは、次の4つである(絶対効)。
・弁済(履行)
・更改
・相殺
・混同
これら4つの絶対効は、先の「連帯債務」の規定が準用されているため連帯債務と同じということ。
なお本試験では、下記の3つの用語に注意しなければならない。これらは絶対効ではなく「相対効」である。
・履行の請求
・時効の利益の放棄
・債務の承認
──保証人の負担と主たる債務の目的又は態様
第448条 ①保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に( a )する。
②主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に( b )されたときであっても、保証人の負担は加重されない。
❶主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は、当然に加重される。◯か✕か?
──主たる債務者について生じた事由の効力
第457条 ①主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、( c )に対しても、その効力を生ずる。
②保証人は、主たる債務者が主張することができる( d )をもって債権者に対抗することができる。
③主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して( e )を拒むことができる。
❷主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。◯か✕か?
❸保証人は、主たる債務者が主張できる抗弁をもって債権者に対抗することができる。◯か✕か?
❹主たる債務者が債権者に対して相殺に供することのできる債権を有するときであっても、保証人は、相殺によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことはできない。◯か✕か?
──連帯保証人について生じた事由の効力
第458条 第438条、第439条第1項、第440条及び第441条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する( f )について生じた事由について準用する。
❺AはBから1000万円借り受け、Aの依頼によってCおよびDがこの債務について連帯保証人となった。この債務の弁済期到来後、BがCに対して弁済請求訴訟を提起して勝訴した場合、Aに対しても時効更新の効力が生じる。◯か✕か?
──主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務
第458条の2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の( g )及び主たる債務に関する( h )、( i )、( j )その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する( k )を提供しなければならない。
❻保証人が主たる債務者の委託を受けずに保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の履行状況に関する情報を提供しなければならない。◯か✕か?
【条文穴埋めの答】a 減縮、b 加重、c 保証人、d 抗弁、e 債務の履行、f 保証人、g 元本、h 利息、i 違約金、j 損害賠償、k 情報
【一問一答の答】❶✕ ❷◯ ❸◯ ❹✕ ❺✕(連帯保証人Cへの「請求」は相対効である) ❻✕(委託を受けて保証をした場合)