──周辺知識は必要か?
ほんの10数年前までは、宅建は過去問だけで合格することが可能だった。
ところが近年の宅建試験では、過去問だけでは不足するので「周辺知識の補充」が必要だという。
過去問を解くだけでは知識が点にしかならず、それを線や面に拡張していかないと合格点がとれなくなっている、という理屈だ。
ある程度は正しいと思うが、過去問をマスターすれば、本試験での高得点はムリでも合格点を超えることは今でも可能だろう。
その根拠の一つに、正解率50%以上の問題をすべて解ければ合格できる、というデータの裏付けがある。
過去に出題実績のない論点で、全受験生の50%以上が正解する問題などそうそう見当たらないからだ。
しかしギリギリ合格では心許ないので周辺知識の補充自体は否定しないし、できるなら補充はした方がよい。
では、その周辺知識の補充は一体どのレベルまで必要なのだろうか?
過去問を解くたびにテキストを開き、該当する箇所をくまなく読み込む。
なるほどこの方法ならば、確かに周辺知識は得られるかも知れないが、如何せん時間がかかりすぎる。
ならばいっそのこと、最初からテキストを読み込んだ方がマシであろう。
ただ過去問を学習の中心におく勉強法には、勉強時間を大幅に削減できるというメリットがある。
最初からテキストを丁寧に読んでいく学習ではそれは難しい。
あくまでも私の主観だが、一問一答や四択過去問を解いていく過程で、その解説部分をしっかり読み込む。
これである程度の周辺知識を補充することは可能ではないか?
もちろん、それで足りなければテキストに戻って該当箇所を読み込む必要はある。でもそれは限定的だ。
この方法ならば、それほど大幅な時間のロスにはならないはず。
また過去問集と違って、テキストには図や表がふんだんに使われており、視覚的にも記憶に残りやすい。
テキストのこういうところは活用した方が良いのかも知れない。
──周辺知識の定義
Twitterやyoutubeでも、周辺知識という言葉は普通に使われている。
それでは一体、周辺知識の“定義”とは何なのか?
どこからどこまでを周辺知識と呼んでいるのだろうか?
一説には、過去に本試験で出題されたことがないがテキストには記載されているものをそう呼ぶらしい。
よってテキストに記載がないものは、そもそも周辺知識でさえない。
言い換えれば、周辺知識=基本的な知識であって、高難度の知識や重箱の隅をつつくような細かな知識をそう呼ぶのではないということだ。
この点はきちんと把握しておきたい。
そして周辺知識を意識的に取り入れる時期は、ある程度の過去問学習を終えてからということになる。
つまり最初から「周辺知識!」と躍起にならずに、軽くテキストを読んだら、すぐさま一問一答を解いて解説を読む。その方法でとりあえず最後まで通し、何度か周回させる。
初期の段階では、一問一答のマスターに全力を注ぎ、95%以上の正答率を達成するまでは、問題と解説の理解に終始する。その際、周辺知識のことは特に意識しなくてもよい。
▶95%以上が合格ゾーン®️
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/14/202428
塾や予備校に通っている人ならば、カリキュラムに沿って授業を進めていくことで、自然と周辺知識も身に付いていくに違いない。
こういった点は、資格スクールならではのメリットだろう。
そうでない独学者の方は、まずは一問一答を解き、その解説を理解することを優先する。
この段階で、答の解説部分以外の周辺知識は必要ない。
独学者が解説以外の周辺知識に手を広げるのは、一問一答→分野別過去問とコマを進めて、それらの正答率・正解率が95%を超えてからで十分だ。
95%をクリアした時点で、少なくとも合格ライン付近にいるものと思われるからである。
そして、ここで初めて、点数をいくらかでも上乗せするために周辺知識を吸収していくことになる。
過去問にはない基本的な論点を、可能な限り取り入れていくのだ。
それは3点かも知れないし、5点かも知れないが、周辺知識というのは、過去問+α の“α”の部分を充実させていくことに他ならない。
+α である以上、過去問のマスターがその前提条件となる。
まずは過去問ありき、、
これだけは忘れないでほしい。