──令和3年2月17日
いつも自分のことのように、この日、この瞬間を待ちわびている。昨年の12月27日に行われた宅建試験の合格発表日である。
正式な発表は午前9時30分からなのだが、17日に日付が変わった直後に、住宅新報社が合格ラインや合格率をTwitter上にフライング発表することが恒例となっている。
5ちゃんねるでも、この瞬間はお祭り騒ぎだ。
16日の深夜、すなわち17日に日付が変わった直後の午前0時01分に、Twitterに次のような記事が住宅新報社から上げられた。
[速報]
不動産適正取引推進機構が本日発表いたしました令和2年度宅建建物取引士資格試験(12月実施分)の合格ラインは36問以上(登録講習修了者は45問中31問以上)です。受験者数35,258人に対し、合格者数は4,609人、合格率は13.1%。
合格ライン36問以上、合格率13.1%!!
「何この合格率の低さ、、」
私を含め、大方の講師陣は、合格基準点を37ないし38点と予想していたのでそちらも意外だったが、それに輪をかけて驚いたのは、なんといっても合格率の異様な低さ!
「これは何なんだ?」
私が最初に思った率直な感想である。
これについては、当日夜、宅建みやざき塾の宮嵜先生が「生放送質問会」の中で核心をついた分析をしておられたので紹介しておく。
12月試験は、受験率が64%しかなかった。つまり記念受験や合格に手が届きそうにない人が、受験自体を放棄したものと思われる。
年末の慌ただしい時期に加え、新型コロナの影響もあり、それらが追い打ちをかけた。
ということは全体的に受験者レベルが上がり、合格ライン付近にいつも以上のボリュームゾーンが形成されていた可能性がある。
通常、ボリュームゾーンは合格点付近、合格点の1~3点下あたりに形成されることが多い。
仮に35点にボリュームゾーンがあり、5%の受験生がそこに集中していた場合、36点が13.1%だから、35点だと18.1%となるわけだ。
宅建試験は1999年以降、合格率は15%以上18%未満の間で推移している。これまでは、合格点も必ずこの中に収まってきた。
ところが今回、この原則が崩れたとしたら?
13.1%も18.1%も、例年通りの枠(15%以上18%未満)に収まっていない。しかし、どちらかを選ばなければならない。
10月試験の合格点は、17.6%といつもより高めだった。12月試験を13.1%とした場合、2020年度の受験者数を合算して合格率を計算し直したら、16.8%となり、程よい合格率となる。
18.1%だったらこうはいかない。
あくまでも推測だが、これが12月試験の合格ラインが36問以上、合格率が13.1%になった理由ではないかと思われる。
こういった感じの分析だったのだが、皆さんはどうお感じになられただろうか?
この結果は、諦めモードだった自己採点36~37点の受験生には朗報だったに違いない。
──正式な合格発表とその後
令和2年度12月試験の正式な合格発表は、当日の午後9時半からとなる。住宅新報社のWebサイト上に、次のように公表された。
不動産適正取引推進機構は2月17日、2020年度の宅地建物取引士資格試験(12月実施分)の実施結果概要を発表した。
それによると、合格者は4609人(男性2880人、女性1729人)で、合格率は13.1%だった。登録講習修了者の合格率は10.7%。受験者は3万5258人。
合否判定は、36問以上正解(登録講習修了者は45問中31問以上)を基準とした。
今年度の宅建試験は新型コロナウイルス感染症の影響により、試験場の確保が困難な状況だったため、10月18日と12月27日に分けて行われ、2試験の合計は、受験者数が20万4247人(前年度22万797人)、合格者数が3万4337人(同3万7481人)、合格率は16.8%、男性16.0%、女性18.6%(同17.0%、男性16.3%、女性18.5%)、うち登録講習修了者は19.4%だった。
2020年度の都道府県別の合格者の受験番号は、次のURLから見ることができる。
https://www.retio.or.jp/exam/pass/todoufukensentaku.html
合格ラインと合格率などが深夜にフライング発表されているとはいえ、まだマークミスをしている可能性がゼロではない。
本試験後で、一番ハラハラドキドキする瞬間である。自己採点が40点以上でも、稀にマークミスで合格できなかった受験生がいるからだ。
ともあれ、新型コロナの第3波で大変な中、しかも年末の忙しい時期に本試験を受け、見事合格を勝ち取った皆さんには敬意を表したい。
これで2020年度の宅建試験に関する行事はすべて終わった。合格した人は、登録実務講習を受けるなどして宅建士になるか、あるいは更に上の資格試験を目指すか、、
私的には、多少の費用はかかるが「宅地建物取引士証」を手にしてほしいと思っている。
仮に宅建士にならなくても、将来の保険として安心を得られるし、人としての信頼度が増すなど付加価値は大きい。
天才とは呼べないが、努力の証明にはなる。
*画像は以前に、Twitterのプロフィール写真に使っていたものを顔写真の上に被せたもの。通常、サングラス着用は認められていない。
合格は今後の人生のスタートラインであって、ゴールではない。
宅建試験に合格された皆さんは、そこに辿り着くまでの道のり・経験を活かし、今後は人生という荒野を切り拓いていってほしい。
皆さんには、それができると信じています。