──はじめに
4月初めからスタートして、10月の本試験までの大まかな計画(合格プラン)を提示しておきたい。
一応、独学者向けのものだが、資格スクールに通っている人や通信講座を利用されている方にもある程度は参考になるかと思う。
私の勉強法は、2段階のステップ方式である。
まず基本テキストと一問一答を用いた「第一段階」の勉強法、次いでテキストと分野別過去問を用いた「第二段階」の勉強法だ。
第一段階で基礎力を養い、第二段階で実践力を身に付ける。
第二段階では、テキストは主に調べるために用い、分野別過去問集が学習の中心になる。
学習する時期は、第一段階が4~7月まで、第二段階が8~10月の本試験前までである。
願書の提出が7月だから、それまでが第一段階で、提出した後が第二段階と考えてよい。
一問一答と分野別過去問以外にも、予備校のオープン模試を受けたり、9~10月の直前期には市販模試を時間を計って解いたりする。
このプランに年度別過去問は不要。
テキストも重要だが、自分の実力を可視化(見える化)できないので、一問一答の正答率や分野別過去問の正解率を実力の尺度とする。
一問一答にしろ分野別過去問にしろ、95%以上の正答率・正解率をクリアすることが、合格圏に達しているかどうかの目安になる。
使用教材を個別具体的に見ていこう。
──第一段階の推薦教材
昨年までは駿台のテキストと一問一答をオススメしていたが、2022年版の発売が見送られたため、今年は1セットに限定せずに推薦できそうな教材をいくつか挙げておく。
第一段階の教材は、基本テキストと一問一答を、同じ出版社の同じシリーズで統一することとする。
例えばTACの『みんなが欲しかった宅建士』シリーズのように、一問一答がないものについては除外した。
また一問一答については、オリジナル問題ではなく過去問の肢で構成されていることを条件とした。
以下はすべて2022年版であるが、どれか1セットを選んで学習すれば、合格ライン付近には到達できる。
ただし、選ぶのは必ず1セット。欲張って2セットも3セットもやろうとすれば、かえって合格が遠のく。
そのへんは注意していただきたい。
【推薦教材①】
・どこでも学ぶ宅建士 基本テキスト(日建学院/建築資料研究社)
・どこでも学ぶ宅建士 チャレンジ!重要一問一答(日建学院/建築資料研究社)
基本テキストは、赤と黒の2色刷りのオーソドックスなもので、分野別に3分冊できるタイプだ。
随所に「要点整理」と題したまとめ表が配置されているので頭の中を整理しながら先へ進める(約670ページ)。
一問一答は、基本的なものから標準的なものまで820問ある。問題の上に、それがどんな項目から出題されているのかが分かるように太字で「タイトル」が付されている。
これは次のTACの一問一答にもあるが、LECやユーキャンにはない。タイトルがあることで、何の問題を解いているのか迷子にならずに済む。
【推薦教材②】
・わかって合格る宅建士 基本テキスト(TAC出版)
・わかって合格る宅建士 一問一答セレクト600(TAC出版)
基本テキストは、オールカラーで情報量が多いのが特徴だ。過去12年分の出題箇所に赤で下線が引いてあり、出題年度も記載されている。分野別の4分冊仕様である。
上記の日建より実践的なテキストだが、情報量が多く、通読にはそれなりに時間がかかる。調べ用としてはかなり重宝する(約700ページ)。
対して一問一答は、600問と数は少ないが、超基本レベルの問題が省かれているため、日建に比べて劣っているというわけではない。
むしろ解説は日建より詳しく、実践的な問題が多い印象だ。初学者は日建の方がオススメかも知れない。
【推薦教材③】
・宅建士 合格のトリセツ 基本テキスト(LEC/東京リーガルマインド)
・宅建士 合格のトリセツ 頻出一問一答式 過去問題集(LEC/東京リーガルマインド)
基本テキストは、オールカラーで情報量が絞られているのが特徴だ。図や表が多く、文章量は少ない。
上記TACの情報量を10とすると、日建が8、LECトリセツは5である。
活字が少ないので、本の厚みの割にはサクサク進む。3分冊のセパレートで初学者向け(約550ページ)。
一問一答は、LECには珍しくすべて過去問の肢で成り立っていて、問題数は全部で727問ある。
一番の目玉は、スマホ対応のアプリが付いていることだろう。外出時に本を持参する必要がないのは便利だ。
令和3年度の10月&12月試験の問題と解説が収録してある点も良い。
【推薦教材④】
・パーフェクト宅建士 宅建合格塾 完全要点マスター (住宅新報出版)
・パーフェクト宅建士 一問一答 Pocket (住宅新報出版)
気を付けてほしいのは、テキストは『パーフェクト宅建士 基本書』ではなく、要点をまとめたタイプの方だ。
赤と黒の2色刷りで、左ページに文章が、右ページにまとめの表がある。
初学者向けではなく、どちらかというとリベンジ組向け。要点マスターという割には、文章がしっかりしていて分かりやすい(約440ページ)。
対して一問一答は、今年から若干問題数を減らして1,000問とし、赤シート対応の2色刷りになった。
加えてコンパクトな新書判サイズとなり、携帯性が増した。各設問に「タイトル」も付されている。
【推薦教材⑤】
・宅建士 出るとこ集中プログラム(中央経済社)
・宅建士 出るとこ10分ドリル(中央経済社)
これらの教材については、既出のブログ記事を参照してほしい。
▶宅建士 出るとこ集中プログラム&10分ドリル(2022年版)
https://paparing-takkenshi.com/entry/2022/03/08/221902
この2冊を徹底的に使い倒せば、上記の推薦教材と同じような学習効果が期待できる。
単純に学習時間だけで判断すれば、推薦教材③のトリセツと同じくらいに早く終わる。テキストの情報量もトリセツとほぼ同じ。
短期合格を視野に入れれば、このセットを外すわけにはいかない。
他に、ユーキャンにもテキストと一問一答があるが、テキストの色使いがケバすぎてオススメできない。一問一答はまずまずの出来(800問)。
らくらく宅建塾は、テキストは読みやすくて悪くないが、一問一答の発売が遅く(7月中旬)、数も少ない(430問)。
LECの合格テキスト❶~❸は時間のある人向け。一問一答○✕1000肢は、過去問ではなくオリジナル問題。
あと駿台の速攻テキストと一問一答は、最新の法改正さえ注意すれば使用しても構わないと思う。ただし、一問一答は1,234問と数が多い。
──第二段階の推薦教材
第一段階と違って、第二段階の推薦教材は以前から定番化しており、内容的にも大きな変化はない。
使用する問題集は、年度別ではなく分野別過去問である。
【安定の定番教材】
・どこでも宅建士 とらの巻 (LEC/東京リーガルマインド)
・出る順宅建士 ウォーク問 過去問題集❶~❸ (LEC/東京リーガルマインド)
とらの巻の最大の特徴は、毎年4月1日に施行される法律に完全対応していることだ。メジャーなテキストでは唯一といってよい(約560ページ)。
赤と黒の2色刷りで、随所にタイトルと同じ「とらの巻」という要点まとめが差し込まれている。
法改正対応なので発売が遅く、5月下旬まで待たなければならない。
巻末に「とらの子」と題した30ページほどの小冊子が付録に付いている。
分野別過去問の最高峰ウォーク問❶~❸は、平成以降の頻出・重要過去問を550題セレクトしてあり、信頼度は折り紙付きである。
右ページに問題、その裏に答と解説というレイアウトに批判的な意見もあるが、うっかり答の番号が見えてしまうようなことがなく、安心して問題と対峙できる点がよい。
私もウォーク問を使ったが、誤って答が見えたことなど一度もなかった。
【その他の分野別過去問】
・スッキリとける宅建士 論点別12年 過去問題集 (TAC出版)
論点別(分野別)なのに1冊本である。5冊に分解できる仕様だ。ウォーク問と違って、直近12年分の過去問が、民法改正で成り立たなくなった問題等を除きすべて収められている。
近年の出題傾向を反映している点は、ウォーク問より上かも知れない。
左ページが問題、右ページが答と解説で、収録問題数は約600題。ウォーク問との相性が悪い人向け。
他に、らくらく宅建塾の姉妹品・過去問宅建塾1〜3は、過去問が約650題と十分すぎる数を誇っているが、テキストとの親和性が強く、らくらく信者以外はオススメできない。
分野別過去問の問題数は、最低でも500題以上は欲しいところだ。
どうしても時間が足りない人は、一問一答がしっかり消化できていることを条件に300題でもOKとする。
それ未満だと合格を保証できない。
300題の分野別過去問を選ぶのなら、先に推薦したテキストや一問一答(上記の推薦教材①〜④)と同じシリーズのものをオススメしたい。
市販の分野別過去問は、何故だか分からないが、500題以上より300題程度のものの方が種類が多い。
とはいえ、より合格を確実にしたいのなら、500題以上の分野別過去問を選んでほしいと思う。
──おわりに
問題集に関しては、一問一答や分野別過去問以外に最新の『直前予想模試』も必要となる。
直前予想模試をやるメリットは3つ。
法改正対策に統計問題対策、そして何より、2時間で問題を解き切る感覚を身に付けることだ。
ただ発売が6月以降なので、ここでは詳しく取り上げないが、例年通りならLECを筆頭に、日建、TACあたりがオススメになると思う。
4月から10月の本試験前までの学習プランは概ねこんなところだ。
先にも述べたが、テキストでは実力が測れないので、一問一答の正答率・分野別過去問の正解率が、今の自分の実力を知る尺度となる。
どちらも95%以上の正答率・正解率を目指して頑張って欲しい。
とりわけ一問一答で正答率95%以上をクリアすることが大切である。
一問一答が完璧ならば、次の分野別過去問は初見で80%以上の正解率が見込めるからだ(私は90%だった)。
独学の皆さんは、これらのノルマを達成し、今年の宅建試験で必ずや合格を手にしてもらいたい。
そう信じてやみません。