──テキストだけでは合格できない
宅建試験の学習において、テキスト(教科書)に比重を置きすぎる勉強法が一番効率が悪いと思う。
仮に、テキストだけを隅々まで覚えて本試験を受けた場合と、テキストなしで過去問だけを繰り返し解いて本試験を受けた場合とでは、明らかに後者の方が合格率は高いだろう。
過去問は100%本試験で出題された問題だか、テキストはそうではない。
テキストには、過去に問われていないこともたくさん掲載されており、そういったものの大部分は、近い将来に出題される可能性も低い(法改正に関するものは除く)。
要するにムダが多いのだ。
そして、テキストの内容を完璧に覚えてから過去問にトライすることを考えている受験生のほとんどは、テキストを完璧にできないまま終わる。当然、過去問も未消化のままだ。
こうして多年受験生化していく。
宅建試験は、高校の世界史や日本史、地理、政治経済のように、教科書中心の勉強では通用しない。
どちらかというと、数学に近いのかも知れない。多くの問題を何度も解くことで高得点を期待できるからだ。
これまでに数え切れないほどの資格学校の講師陣や、合格を手にした諸先輩方が、口を揃えて
「過去問を繰り返し解いてください」
と言っているのに、それに耳を傾けようとしないテキスト至上主義者が、今でもこの日本にたくさんいることが残念で仕方がない。
──自動車学校から学ぶ
以前にも少し触れたが、自動車学校の学科試験(ペーパーテスト)を思い出していただきたい。
自動車学校では、入校すると受講生全員に「教本」が配布され、学科の授業はその教本を中心に進められていく。
そして卒業前の学科試験では、100問ほどの◯✕問題が出題され、90点以上で合格となる(愛知県試験)。
その学科試験に合格するために、皆さんはどんな勉強をされただろうか?
配布された教本を隅々まで暗記して学科試験に挑んだのか?
それとも過去に出題された大量の◯✕問題を何度も解いて挑んだのか?
もちろん、教本も少しは勉強しただろう。しかし大半の受講生は、◯✕問題を解くことに時間を割き、合格できたのではないか?
確かに、宅建試験と自動車学校の学科試験とでは、難易度が異なる。四択問題と◯✕問題(一問一答)という出題形式の違いもある。
だが着目点はそこではない。
世の中には過去問で乗り切れる試験が数多くあり、宅建試験もその内の一つということだ。
過去の宅建試験に、テキストのみで合格した人を私は知らない。
唯一、予想問題を繰り返し解いて受かった人の話を「合格体験記」で読んだことがあるが、ほとんどすべての合格者は、過去問をマスターしてから本試験に挑み、合格している。
勘違いしてほしくないが、テキストが不要だと言っているのではない。
テキストは最初にさらっと1~2回読んで、あとは過去問を解き、解説を読んでも分からないときに限り、辞書のような使い方をすればいい。
前回の記事でも述べたが、テキストと過去問の時間比率は、2対8である。テキストが2で、過去問が8だ(3対7までは許容範囲内)。
テキストに5以上の時間を割いている人は、今すぐにでも、過去問中心の勉強に改めなければならない。こと宅建試験に関しては、テキスト至上主義では合格は遠のくばかりである。
何度も言うが、テキストはさらっと、過去問にたっぷりと時間をかける。
多年受験生にならないため。そして今年の宅建試験に合格するために!!