──予期していなかった出来事
6月8日(火)に、宅建みやざき塾の宮嵜先生から、レターパックが我が家に届けられた。
これまでも郵送で何点かご恵贈していただいたが、すべて事前連絡があった後だったので、今回の突然の出来事には少し驚いた。
送られてきたものは、宮嵜先生の新刊本のほか、宅建みやざき塾で使用する合格テキストや基本を学ぶQ&Aなど複数である。
宮嵜先生にお礼の気持ちを伝えると、「宅建受験生のみなさまへのアドバイスにお役立ていただけましたら幸いです」という丁寧な返信までしていただいた。
今回それらの中から、宮嵜先生の新刊本、宅建みやざき塾の『宅建士 2択でチェック!』(中央経済社)を取り上げてみたいと思う。
──2択でチェック!の概要①
宅建受験生の間では、すでにTwitterなどで話題になっている本ではあるが、発売日より少し前に届けていただいたことになる。
最初のページを開くと、宮嵜先生の直筆サインが黒の油性ペンで記されていた。
宮嵜先生の宅建受験生に対する思いがストレートに伝わってくるサインだった。
さらにページを開いてみる。
本書の使い方として、「10時間(1テーマ10分前後×60テーマ)で大逆転!」いうタイトルと共に、こんな人におすすめとして3つの例が挙げられていた。
▪2021年は絶対合格したいリベンジ受験生
▪過去問を解いているのに模試の点数が悪い
▪最近の高水準を受け、高得点で合格したい
なるほど納得のできるものばかりだ。また受験生の学力レベルに合わせて、
▪昨年の本試験や模試で20点~30点の方
▪昨年の本試験や模試で30点~合格ボーダーラインの方
の2つのグループに分け、それぞれの勉強の進め方が大まかに述べられている。
本書は60テーマ(章)で成り立っているが、各テーマに2択問題が1つというわけではなく、複数問の場合もある(合計で100問ほど)。
分野ごとのテーマ数は次のとおり。
▪権利関係 20テーマ
▪法令上の制限 10テーマ
▪税・価格評定 8テーマ
▪宅建業法 17テーマ
▪5問免除 5テーマ
ここまでが序章、ここから先が本題となる。
──2択でチェック!の概要②
初めに目についたのは、各テーマごとに、それに対応する宮嵜先生のYouTube解説動画のQRコードが貼り付けてあることだ。
部分的にではなく、すべての章で、それに関連する宮嵜先生のYouTube動画が見られるのである。このアイディアは素晴らしいし、ある意味画期的なことではないだろうか?
また★印の数で、その章の重要度が分かるようになっている。★★★★☆なら、重要度が4ということ。宅建受験生なら、最低でも重要度3以上はマスターしてほしいところである。
私自身、この本の2択問題をいくつか解いてみたが、正直、簡単ではなかった。
受験生が「最後の2択」で迷ったとき、そこから正解を導き出すためのトレーニングとしての教材なのだから、簡単なはずがない。
私にはむしろ、4択問題より難しく感じた。
例えば、次の民法の意思表示の2択問題を解いてみてほしい。
どうだろうか。通常の4択問題より難しく感じたのではないだろうか?
ただ漠然とテキストを読み、過去問を解いているだけの受験生には難しかったはずだ。
この問いの答は「1」だが、しっかりと条文レベルで内容を抑えておかないと、4択の合格者正解率が80%(LEC基準)のこの問題でも、足をすくわれてしまうという一例である。
なお、各2択問題のすぐ下に、「ココが分かれ目!」と称して、問題を解く上での着眼点が簡単にまとめられている。
この着眼点に気付けるかどうかが勝負の分かれ目で、その洞察力を高め、鍛えることを目的とした教材ともいえる。
また本書には、すべての2択問題に詳しい解説が付けられている点も特筆すべきだろう。
──2択でチェック!の概要③
各テーマの解説が詳しいことも利点だが、イラストや図、表などが、より頭の中をクリアにする役割を果たしてくれる。
例えばこんなふうに、、
農地法の3条、4条、5条の流れを図にしたものだが、この図があるだけで理解がはかどり、視覚の面からも記憶に残りやすい。
もう一つ挙げておく。
保証協会の「還付の流れ」を図で表したものである。この還付の流れは、こうやって図にしないとなかなか頭に残らない。
宮嵜先生の『宅建士 2択でチェック!』には、このようなイラストや図が随所に差し込まれていて、記憶の助けになっている。
宅建みやざき塾の合格テキスト3冊にも、このようなイラストや図、表がふんだんに使用されているが、本書もそれに倣っている。
つまり、みやざき塾の合格テキストのいいとこ取りがされているというわけだ。
こういった3つの媒介契約のまとめの表なども、イラストや図と並んで、記憶の手助けになっている。こういう表も本書には多い。
ただ単に、解説が詳しいだけの教材は多いが、イラストや図、表などをふんだんに取り入れた教材の方が圧倒的に記憶に残る。
それだけではない。イラストや図、表を差し込むことで、活字を減らすこともできる。活字が減れば、勉強時間だって短縮できるのだ。一石二鳥、いや一石三鳥である。
──総括とまとめ
本書を使用する時期は、ある程度、過去問学習が終わった後がベストかも知れない。
とはいえ初学者の方が、本格的に4択過去問に入る前に、2択で慣らしておくのも一つの方法ではないだろうか?
メイン教材としてではなく、合格ラインの一歩手前まではいくのだが、その先の壁がなかなか越えられない受験生のための「サブ教材」といった位置付けの本だと思う。
毎年、1点や2点に泣く受験生が多いのが宅建試験である。
もがき苦しんでも越えられなかった壁。その壁を越えるためのツール。そういうコンセプトで作られた教材なのだろう。
壁を乗り越えるための着眼点なり情報が、この教材には散りばめられている。もちろん、合格点はクリアできるが、さらに上を目指したい受験生にも本書は有効だ。
宅建受験生を合格に導くため、長年にわたって尽力されてきた宮嵜先生の渾身の一冊!
本書をマスターすれば、最低でも今より2~3点、うまくいけば5点以上の点数の上乗せが期待できる。これを使わない手はない。
すべての宅建受験生、とりわけ30~35点あたりから抜け出せずにいる初学者あるいはリベンジ組にお薦めしたい良書である。