──相殺とは?
当事者が互いに同種の債権(債務)を有する場合、相手方に対する一方的な意思表示により、双方の債権を対当額で消滅させることができる。
これを「相殺」という。
相殺する側の債権を自働債権、相殺される側の債権を受働債権と呼ぶ。
相殺をするためには、双方の債権が相殺に適した状態にあることが必要で、この状態を相殺適状という。
ただし、次のような債権を受働債権として相殺することはできない。
①不法行為等により生じた債権
②差押えを受けた債権
また相殺に関しては、第506条〜第508条、第510条も重要だが、法改正されていないので割愛する。
──相殺の要件等
第505条 ①2人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が( a )にあるときは、各債務者は、その対当額について( b )によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りではない。
②前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を( c )し、又は( d )する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は( e )によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。
❶相殺禁止の特約があれば、そのことを重大な過失なく知らずにその債権を譲り受けた者でも、その債権をもって相殺することはできない。◯か✕か?
──不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止
第509条 次に掲げる債務の債務者は、( f )をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務に係る債権を( g )ときは、この限りではない。
1 悪意による( h )に基づく損害賠償の債務
2 ( i )又は( j )による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)
❷悪意による不法行為に基づく損害賠償債権の債務者は、当該債権を譲り受けた者に対し、相殺をもって対抗することができない。◯か✕か?
❸Aは、過失により自動車でBを轢いて怪我をさせ、その治療費として、Bに対し100万円の損害賠償債務を負った。Aが、Bに100万円の貸金債権を有している場合、Aは、貸金債権を自働債権とし、Bに対する損害賠償債務を受働債権として相殺することができる。◯か✕か?
──差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止
第511条 ①差押えを受けた債権の第三債務者は、( k )に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、( l )に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。
②前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が( m )に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。ただし、第三債務者が差押え後に( n )を取得したときは、この限りではない。
❹差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。◯か✕か?
❺差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。◯か✕か?
【条文穴埋めの答】a 弁済期、b 相殺、c 禁止、d 制限、e 重大な過失、f 相殺、g 他人から譲り受けた、h 不法行為、i 人の生命、j 身体の侵害、k 差押え後、l 差押え前、m 差押え前の原因、n 他人の債権
【一問一答の答】❶✕ ❷✕ ❸✕ ❹◯ ❺◯