──リベンジへ向けて
不合格が決まった後で、すぐに勉強を再スタートさせたわけではない。
年内いっぱいは学業に専念し、休みの日には、友達と外で遊んだりゲームをしたりしてリフレッシュすることを健斗には勧めた。
次の宅建試験までまだ10ヶ月近くあるし、あまり早い時期からアクセル全開だと、途中でスタミナ切れになることを懸念したからだ。
もっとも、健斗本人はやりたがっていたようだけど、、
年内は、学校の授業と委員会活動と宿題のみ。冬休みは、大晦日までに冬休み用の宿題が終わればそれでいい、という考えだった。
年明けに私が健斗に指示したのは、昨年の『ウォーク問』の見直しだった。
平成26年版の宅建のテキストや問題集が書店に並び始めていたが、まだ全部が発売されているわけではない。
それよりも慣れ親しんだテキストや過去問を、しっかり見直すことの方が大切だと感じていた。
一ヶ月近く間を空けると、結構いろいろと忘れているものだ。
宅建のような法律系の資格試験は、毎年のように法改正された部分の出題があるので、テキストと過去問は最新のものを用意した方がいい。
だが健斗には、教材の買い換えはもう少し先延ばしにして、しばらくは宿題とウォーク問の見直しを並行してやるように伝えた。
──運命の一冊と出会う
2月の中頃に、健斗とたまたま市内の本屋へ行く機会があった。ご多分に漏れず、宅建コーナーに足を運んだのだが、日建学院の『一問一答777』という問題集が目に留まった。
まだ発売されたばかりの最新版だ(2021年度版から『チャレンジ!重要一問一答』に刷新)。
「スリーセブンか、縁起いいじゃん」
そういえば私も、ウォーク問に手を付ける前に『パーフェクト宅建士 一問一答』(住宅新報出版)の旧版で基礎力を養っていたっけ、、
すかさず『一問一答777』を手に取って中を確認すると、2色刷りで見やすく、解説も分かりやすい。
私が使っていた『パーフェクト宅建士 一問一答』は単色刷りで解説もイマイチだったので、この問題集がすごく出来の良いものに思えた。
私は健斗に、
「これ欲しいか?」
と訊ねると、
「欲しい!」
と間髪入れずに即答、、(汗)
というわけで、半ば衝動買いのような形で購入を決めてしまった。
昨年版の『ウォーク問』❶〜❸の見直しもそこそこできたし、まぁ良しとしよう。
結局、3月末までの約一ヶ月半は他の教材は使わず、この一問一答集のみで宅建の勉強を進めていった。
──そして春休み
年が明けて早3ヶ月、、
そのうちの前半は『ウォーク問』の見直し、後半は『一問一答777』という順で宅建の勉強を進めてきた。
健斗は、ウォーク問の復習は嫌々というか渋々やっている感じだったが、一問一答777を解いている時は、不思議と楽しそうだった。
「健斗には日建が合っているのか?」
そう思った私は、日建の市販の予想模試(前年度版)を買ってきて、試しに健斗に解かせてみた。
今現在の実力も知るためだ。
模試は3回分あり、きちんと時間を計って解いた結果、38点、39点、40点だった。
LECやTACに比べて、日建の模試はやや易しいとは聞いていたが、それでもこの時期、この成績ならまずまずだと思った。
また最高点より、最低点が38点だったことに私は価値を見出だしていた。
この後も健斗は、春休みが終わるまで一問一答777を続けていった。
そして4月上旬に、人生の転機、小学6年を迎えるのであった。