──民法以外の法改正にも完全対応
5月25日(月)、今年度版のLECの『とらの巻』が発売された。有名どころのテキストとしては、2020年4月1日以降に施行されている法律に完全対応した唯一の参考書ではないだろうか?
それ以前に発売されたテキストでも、今年は民法の大改正に合わせて出版されたものがほとんど。民法以外の細かな法改正にまで万全に対応したものは、今のところ『とらの巻』だけである。
また『とらの巻』は、同じLECの『ウォーク問』全3冊とリンクしているため、『ウォーク問』で分からないところがあっても、すぐに該当箇所を開いて調べることができる。
LECには、やはり『ウォーク問』とリンクした『合格テキスト』全3冊があるが、民法部分を除けば、すべての分野の法改正が万全とはいえない。
しかも『合格テキスト』は、テキストとしては情報量がかなり多く、通読には向かない。『パーフェクト宅建の基本書』(住宅新報出版)と同じで、辞書的な使い方をするべき教材だろう。
ただ今年に関していえば、3分冊のうちの『権利関係』だけは通読してもいいと思う。民法の法改正に対応しているのがその理由だが、他の民法教材に手を付けるよりは早く終わることも理由の一つだ。
──その他の特徴は?
健斗が合格した年(2014年)の翌年から、『とらの巻』には「とらの子」と称した30ページほどの小冊子が付属しており、なにげに役に立つ。
いわば簡易なまとめ本だが、薄いので本試験当日に会場へ持っていくのに便利だ。重要語句が赤シートで隠して覚えられる(赤シートは付属してない)。
他の本格的なテキストと異なり、「とらの子」を除いた本編は500ページに満たず、テキストの厚さからくる威圧感のようなものは感じられない。
価格的にも、他のメジャーな教材が3,000円前後するのに対し、この『とらの巻』は税込み2,420円と良心的だ。この点も評価したい。
過去問に『ウォーク問』を選択した人には必須のテキストだし、法改正が万全なので、他のテキストをお持ちの方にもサブとしてお薦めする。
試験に出ない部分を大胆にカットするなど、内容を凝縮しているため初学者向けではないが、図や表も多くて文章も読みやすい。重要語句が赤文字にしてあり、メリハリを付けて読むことができる。
業法の重要事項説明書がやや乱雑で覚えにくいが、建築基準法の用途規制のまとまりは秀逸だ。当時の私には『とらの巻』と、パーフェクト宅建の『要点整理』の2冊が必要不可欠だった。
要所ごとに置かれた「とらの巻」という同名の箇条書きも見やすく、記憶の助けになる。
情報量が通常のテキストの3分の2ほどで、45点狙いの受験生には向かないが、40点前後を狙うには丁度いい分量だと思う。
終盤の追い込み期は、『とらの巻』と『ウォーク問』3冊に絞って、勉強を加速させていくのがベストな方法だと信じる。
もちろん好みの問題もあるだろうから、LECの代わりにTACや日建あたりを用いても構わない。しかし4月以降の法改正に完全対応したテキストを求めるのなら、『とらの巻』一択である。