──はじめに
一昨年、昨年と同様に、2021年も宅建試験の勉強の過程を「第一段階」と「第二段階」に分けて進めていこうと思う。
今から7月末までを第一段階、8~10月の本試験前までを第二段階とする。
私の勉強法を知らない方のために、それぞれの段階にどういう意図があるのか、またどんな教材を使用していくのかを説明していきたい。
私が提唱した勉強法に「勝利の方程式」というものがある。
▶勝利の方程式とは?
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/11/011433
過去問を学習の中心に置き、第一段階で「一問一答式」を、第二段階で「分野別過去問集」を用いる勉強法である。
分野別だけではなく、一問一答も過去問ベースとする。オリジナル問題はこれに含めない。
また、それぞれの問題集にリンクしたテキストも必要となる。テキストと過去問が、同一出版社のシリーズ化されたものがオススメだ。
私の宅建ブログも今年で3年目に突入するが、その勉強法の順序(勝利の方程式)には微塵の揺るぎもない。実際、この方法論に則って勉強されてきた方々の大半は合格している。
理論だけではなく、それを実践してきた受験生の多くが結果を残してくれた点は心強い。
まず一問一答で肢の一つ一つを丁寧に分析する力を養う。~以下と~未満は同じではない。こういった部分にも細心の注意を払って設問を読み取る訓練をする。
次に分野別過去問集だ。年度別ではなく、分野別であることがポイントである。
▶年度別過去問集の落とし穴
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/18/191642
分野別で4択の実践形式に慣れ、各項目を得点源レベルにまで引き上げる。この一問一答→分野別過去問の順に手を付けていく勉強法が合格への最短ルートとなる。
第二段階の教材は、LECの『とらの巻』と『ウォーク問』で決まりだが、今年から第一段階は、初学者向けの教材とリベンジ組向けの教材の2パターンに分けていきたいと思う。
数ある宅建教材の中から、私が書店に足を運んで時間をかけて選び抜いた独学用のツール(第一段階)をこれから紹介していく。
──第一段階の教材〔初学者向け〕
初学者向けのテキストとしては、TACの『みんなが欲しかった!宅建士の教科書』やLECの『宅建士 合格のトリセツ 基本テキスト』、宅建学院の『らくらく宅建塾』などがある。
しかし対応する一問一答との兼ね合いを考慮し、今年も駿台(日本経済新聞出版)の2冊をオススメ教材とすることにした。
一問一答は過去問ベースとし(予想問題は✕)、掲載問題数が1,000問以上あることを条件とする。ちなみに駿台の場合、一問一答の問題数は1,234問である。
・うかる!宅建士 速攻テキスト
・うかる!宅建士 一問一答+予想模試
これらの2020年度版は、法改正部分(特に民法)に誤植が多く、それが最大のネックとなっていた。日経の正誤表を見ても、速攻テキストで29ヶ所、一問一答+予想模試で20ヶ所もの誤りがあったのだ。
しかし今年(2021年度版)は大丈夫だと思う。実際、私が確かめたところ、2020年度版の誤植はすべて修正されていた。
これらを用いた勉強の進め方はこうだ。
まず速攻テキストの第1章「制限行為能力」を理解することを目的として読み、次いで一問一答+予想模試の第1章「制限行為能力」の問題を解く。
このとき、テキストに載っていない問題があれば、深追いせずに解説部分を読んで理解するように努める。
答のすぐ右側に、赤文字の一行解説が置かれているので、最低この部分だけは頭に入れておく。単に◯✕を答えて終わりにしてはいけない。
本編の解説部分まですべて覚える必要はないが、やはり赤文字に注意しながら読み込んでもらいたい。暗記ではなく理解が重要である。
ここまで終えたら、次に第2章「意思表示」の項目を同じように進めていく。その次は第3章「代理」、またその次は第4章「相続」というように、、
第1部の権利関係は全部で20章分あるが、根気よく続けていってほしい。
一問一答+予想模試の第1部・権利関係の最後に、4択の過去問が14題分置かれているが、ここは余裕のある人だけやれば良い(第2部~第4部も同じく)。
同様に、ページの最後の方に置かれている2回分の予想模試も、余裕のない人は手を付けなくて良い。一問一答をマスターすることがこの問題集の目的なので、そのへんは臨機応変に対応してもらいたい。
速攻テキストも一問一答+予想模試も、どちらも章分けの構成が同じで、第1部・権利関係が20章、第2部・宅建業法が9章、第3部・法令上の制限が7章、第4部・税その他が6章の全部で42章に分けられている。
一日1章を目標に頑張れば、一ヶ月半で1周できる計算だ。テキストの読み込みは2周までとし、3周目以降は一問一答に専念する。
その際、分からない問題があれば、速攻テキストを辞書代わりに使用する。
2周目は恐らく一ヶ月あれば足り、3周目以降は一問一答のみだから、さらに短縮できる。
7月までの間に、一問一答が5周はできるはずだ。それだけできれば、正答率も95%以上になっているに違いない。
▶95%以上が合格ゾーン
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/14/202428
そんな感じで駿台の2冊を進めていってほしい。第1部・権利関係の1周目が終わったら、そのまま第2部・宅建業法に駒を進めず、権利関係の2周目に入った方がいいかも知れない。
そのへんの見極めは各自で行ってほしい。記憶の定着が弱いと感じれば、権利関係を2周してから宅建業法へ移った方がいいだろう。
──第一段階の教材〔リベンジ組向け〕
昨年の本試験問題を解いて、30点以上とれた人は下記の教材を使った方が効率的だ。リベンジ組でも、30点未満の人は、上記の初学者向けの教材を使うことをオススメする。
駿台の2冊を用いれば、恐らく合格基準点近くまではいく。ただしマスターできたらの話だ。だがこちらの教材をマスターすれば、合格基準点の少し上くらいはとれるはず。駿台+3点といったところ。
初学者には少々難しく感じるが、リベンジ組には得るものが多いと思う。その教材とは、住宅新報出版から出ている次の2冊である。
・パーフェクト宅建士 要点整理
・パーフェクト宅建士 一問一答
まず要点整理の方だが、左ページが教科書的な意味合いを持ち、右ページに図表がまとめられている。
最重要語句が赤文字、重要語句が太字の黒文字となっており、メリハリのある学習が可能だ。
特に、業法の重要事項説明書や37条書面の記載事項、建築基準法の用途制限あたりの図表は、非常にうまくまとめられている。
私が昨年、ブログの「要点まとめ」記事を書き上げるのに随分と参考にさせてもらった。総ページ数も、400ページ強しかなく、通常の宅建テキストの3分の2程度である。
それゆえ密度は濃いが、、
対して一問一答の方は、問題数が1,283問と駿台のそれより若干多い。それでも2020年版は1,500問を超えていたのだから、大分スリムになったと思う。
単色刷りで、駿台にはあった一行解説もなく、初学者向きではない。その代わり解説は駿台と同等かそれ以上に詳しく、重要語句は太字になっているので視覚的にも分かりやすい。
当時、私が受験生だった頃に使っていた一問一答式はこれである。
これらの教材の使い方は、上記の駿台とほぼ同じだ。各章ごとに、テキスト→一問一答の順に手掛けていき、3周目からは一問一答だけに専念する。
やはりその際、分からない問題に出くわしたら、テキストに戻って調べれば良い。
駿台の場合と同様に、7月までに最低5周、正答率も95%以上にしておく。
駿台にしろパーフェクト宅建士の2冊にしろ、第一段階の学習においては、テキストではなく一問一答のマスターがカギとなる。
──第二段階の教材と総括
最初の方でも触れたが、第二段階の教材はLECの『とらの巻』と『ウォーク問』3冊である。
・どこでも宅建士 とらの巻
・ウォーク問 過去問題集❶~❸
「第一段階の後にまだ4冊もあるのか」
と思うかも知れないが、心配はいらない。メイン教材はウォーク問の方なので、とらの巻のマスターまで考えなくても大丈夫。
とらの巻は一度だけさらっと読んで、あとはウォーク問を解いていく過程で辞書的な使い方をすればいい。
しかも駿台もしくはパーフェクト宅建士の一問一答が完璧ならば、ウォーク問は最初から8割以上の正解率が得られる。これは本当だ。
昨年の合格者の中には、「正解率が最初から9割に達していた」という人もいた。
それだけ正解できれば、あとは残りの1~2割の間違えた問題を見直すのみ。だから第二段階の教材にそんなに時間はかからないのだ。
それほど第一段階で「一問一答」をマスターすることの意義が大きいということである。
総括すると、第一段階の教材は7月末までにマスターし、8月以降は第二段階の教材に移行する。その際、学習の中心に置くべきは、第一段階の教材なら一問一答、第二段階の教材ならウォーク問に代表される分野別過去問である。
そして、どちらも95%以上の正答率・正解率が得られれば、ほぼ合格したも同然だ(私は便宜上、一問一答を正答率、4択過去問を正解率と使い分けている)。
まず一問一答式のマスターを心掛け、次に分野別過去問集に移る。この学習の順序(勝利の方程式)こそが大切であり、最短ルートで合格を勝ち取るための秘訣に他ならない。
勉強法の概要はこんなところである。
あとはそれを実践するかしないか、継続できるかできないかは、皆さんが宅建試験に「合格したい」いや「合格するんだ」という思いの強さで決まるといっても過言ではない。