──民法の得点戦略
初学者の通常の学習方法(テキスト+過去問)では、宅建の権利関係は、14点中でせいぜい7~8点といったところだ。これをもう2~3点跳ね上げて何とか10点にしたい。
そのためにはどうすればいいか?
本来ならば、宅建のテキストや過去問の他に、別途民法を勉強しなければならない。
民法といっても、大学教授が執筆したような本格的なものはいらない。司法試験や司法書士試験の対策本もレベルが高すぎる。
宅建より少し上の行政書士か公務員試験向けの民法教材がお勧めである。
ただ難点もある。時間がかかりすぎるのだ(150時間以上)。フルタイムで仕事をしているサラリーマンやOLの初学者にはかなり厳しい。
わずか2~3点のために、それだけ時間を費やすのは費用対効果の面から見てもよくない。
ではどうするか?
ご存知のように、民法は約120年ぶりに大改正され、3年前の4月から施行になった。債権法を中心に、総則と相続の一部でかなりの数の条文が書き換えられた。
宅建試験では、その法改正部分が狙われやすいのだ。改正された部分の問題が、通常の年でも肢単位で2~5問は出題されている。
案の定、2020年度の10月試験と12月試験で、どちらも民法部分から半数以上の法改正問題が出題された。
とはいえ、まだまだ未出題の項目も数多くあり、この傾向は、今後もしばらく続くのではないか?
確認しておくが、権利関係全14題のうち純粋な民法は10題で、残り4題は民法の特別法(借地借家法・区分所有法・不動産登記法)である。
2019年までの得点戦略としては、民法で5/10点、民法の特別法で3/4点というのが、初学者が目標とするおおよそのラインだった。
通常の宅建テキストと過去問をベースに勉強していれば、実際こんなところである。
もう少し詳しく述べると、民法の特別法では、借地借家法と区分所有法で確実に3点を取りにいく。不動産登記法はやや難しいため、取れればラッキーくらいに思っておけばいい。
しかし今後は、特別法は3/4点でいいので、民法での得点を何とか7/10点にまで引き上げたい。2020年の10月試験の合格点が38点であったことから考えても、これは妥当だと思う。
つまり民法を、行政書士や公務員試験用の教材で網羅的に学習するのではなく、法改正部分に特化した勉強をするということだ。
そうすれば権利関係で、2~3点ほど上乗せして10/14点が見えてくるのではないか?
そう考えたわけだ。
そこで私は、2020年の2月、3月のうちに、コツコツとブログ記事にしたためてきた。全部で16記事からなる「改正民法の条文穴埋め&一問一答」シリーズである。
改正民法の重要条文を、宅建のみならず、行政書士や公務員試験のテキストや問題集を徹底的に調べ上げた。
その中から、今後の出題が予想される条文を「穴埋め問題」にし、さらにその条文に対応する「一問一答」を付したものである。
──改正民法の条文穴埋め&一問一答
法改正後の問題は、変にひねった問題が出ることは少なく、条文に則った形で問われることが多い。
これに対処するには、条文を理解・記憶するのが一番だが、ただ素読するだけではなかなか頭に入ってこない。重要語句を「穴埋め」にすることで記憶への定着をうながすのだ。
その「改正民法の条文穴埋め&一問一答」シリーズで取り上げた項目名を列挙してみる。
16ある記事すべてにURLを添付し、最重要項目は赤文字、重要項目は青文字とした。
▶①意思表示(心裡留保・錯誤・詐欺)
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/22/020824
▶②代理
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/24/012231
▶③時効(消滅時効)
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/26/000208
▶④債務不履行・解除
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/01/223739
▶⑤債権者代位権
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/02/201531
▶⑥詐害行為取消権
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/04/000948
▶⑦連帯債務
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/07/104241
▶⑧保証・連帯保証
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/09/184211
▶⑨債権譲渡
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/14/110730
▶⑩弁済
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/15/000248
▶⑪相殺
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/16/180945
▶⑫契約・危険負担
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/19/184827
▶⑬賃貸借
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/21/002520
▶⑭契約不適合責任
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/23/181220
▶⑮消費貸借・使用貸借・請負
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/25/192121
▶⑯相続(配偶者居住権・配偶者短期居住権・遺留分侵害額請求権)
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/28/110152
ざっと、こんなところだ。これらの中では、⑤の債権者代位権と⑥の詐害行為取消権は、今後は分からないが、過去の宅建試験では頻出とはいえない。
⑩の弁済、⑫の危険負担、⑮の消費貸借も頻出とは呼べなかった(使用貸借と請負は別)。
それらを除いた残り11記事(赤文字と青文字)は宅建受験者ならば押さえておいた方がいい。
今年度版の宅建のテキストと過去問を用いた学習に加え、これら11記事の「改正民法の条文穴埋め&一問一答」をきちんとマスターできれば、権利関係で10点を取ることは可能だと私は思っている。
改めて分厚い民法教材を用いなくても、だ。
幸いなことに、この「改正民法の条文穴埋め&一問一答」シリーズは、宅建のみならず、行政書士や公務員試験、時には司法書士や不動産鑑定士試験の受験生にも支持されてきた。
熱心に利用してこられた方々からDMやツイートでお礼の言葉が複数寄せられたので、役に立っているのは確かなようだ。
分厚い民法テキストを通読しても、それが点数に直結するとは限らない。
ところが、この「改正民法の条文穴埋め&一問一答」シリーズならば、法改正に特化しているので、直接点数に結び付きやすい。所要時間も民法教材の5分の1以下で済む。
宅建試験が、改正部分から出題されやすい傾向にあることは先に述べた通りである。
改正された条文の数は膨大なので、すべてを網羅することはできないが、重要な条文は極力見落としがないように取り上げたつもりだ。
マスターすれば、2~3点の上乗せは可能だと信じる。
通常の学習に加え、これら「改正民法の条文穴埋め&一問一答」シリーズを活用し、権利関係でぜひ10/14点以上を狙ってもらいたい。