──計画が破綻してしまった人へ
市販の「一問一答集」の中で、収録問題数が多い代表格は、『パーフェクト宅建士 一問一答』(住宅新報出版)と『うかる!宅建士 一問一答+予想模試』(日本経済新聞出版)だろう。
共に1,200問余りの問題が収録されていて、どちらかを95%以上マスターできれば、それだけで合格ライン付近にまで到達できる。
これまで私は、一問一答集としては、これら2冊のどちらかをお薦めしてきた。
春先から勉強をスタートし、コツコツと継続してきた人ならば、これらもそろそろ終わりに近付いていることと思う。
しかし勉強なんて、予定通りに進まないのが常である。
これら一問一答集を始めてから3ヶ月以上経つのに、未だに権利関係をうろうろしている人は計画を見直さなければならない。
これから宅建試験の勉強をスタートする人たちにも同じことがいえる。
私の勉強法では、これらの一問一答集は、4月頃から始めて7月末には終わっていなければならないからだ。
仕切り直して再スタートをかける人、これから勉強をスタートさせる人は、短期決戦型のプログラムを実行に移す必要がある。
──コンパクトな一問一答集
昨年は、この時期に予定の半分も消化できなかった人や、これから初めて勉強をスタートする人には、『一問一答セレクト600』というTAC出版のものをお薦めしてきた。
もちろん消化できるのなら、先の2冊の方がいいに決まっている。だが、このままでは本試験日までに間に合わないことは必至だ。だから苦肉の策といえなくもない。
先の2冊に比べたら、TACの収録問題数は約半分の600問余りである。
「問題数が半分なら、仕上げたとしても、実力も半分にしかならないのではないか?」
普通に考えればその通りだが、意外に知られていない法則があるのだ。
市場に置き換えれば、「パレートの法則」というものがある。
19世紀にイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが、さまざまな国の国民所得配分について調査したところ、「人口の20%が富の80%を所有している」ことを発見したことに由来する法則だ。
これは上位20%が、全体の80%に影響を及ぼしているという理論だが、資格試験の過去問数にもある程度は応用することができる。
宅建試験の場合、すべての過去問の中から、頻出なものだけを20%抜き出してそれをマスターすれば、全体の80%をマスターしたのと同じ効果が得られるということ。
とはいえ、上記2冊の一問一答集でさえ、全体の中の頻出部分をかき集めたものである。
だからパレートの法則を、直接そのまま当てはめることはできない。当てはめることはできないが、それなりの効果は期待できる。
ここからは私の考えだが、すでに選ばれた頻出問題であっても、その中の上位50%をマスターできれば、頻出問題の80%程度をマスターしたことになるのではないか?
つまりTACの一問一答集は、先の2冊に比べれば約半分の問題数に過ぎないが、マスターすればその効果は半分どころではない。
先の2冊のどちらかを80%マスターしたのと同じくらいの価値があるのではないか?
600肢の正答率100%
=1,200肢の正答率80%
TACの600肢は、先の2冊の1,200肢よりも、より頻出問題をセレクトしてある。加えて解説は先の2冊より詳しい。
これから1,200肢をマスターするのは大変だが、600肢ならば可能ではないか?
そう考えたわけだ。
私の勉強法(勝利の方程式)は、まず一問一答をマスターし、次いで分野別過去問をマスターするというもの。
▶勝利の方程式とは?®️
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/11/011433
一問一答でもたもたしていたら、分野別を消化できないまま本試験を迎えてしまうことになりかねない。そうすると、言うまでもないが合格は遠のいてしまう。
それだけは何としても避けたい。そういう思いから、苦渋の選択ではあるが、教材を買い換えることを提言したいと思う。
教材には相性もあるので、必ずしもTACでなくても構わない。今年、TAC以外で私が注目しているのが、日建学院の『チャレンジ!重要一問一答』である。
日建の一問一答集といえば、以前に息子の健斗が使っていたもの。当時は777問の重要肢が収録されていたが、それがいつしか999問となり、今年から800問になった。
TACより少し問題数が多いが、その分、次の分野別への移行がスムーズになる。
短期決戦で宅建試験に挑むのなら、TACか日建のどちらかの一問一答集を95%以上マスターすることが必須条件だろう。
実際、昨年も、TACの一問一答→LECのウォーク問の順に手を付けていって合格を勝ち取った人もいた。
あくまでも短期決戦用の教材なので、本試験で45点以上とかは望まない方がよい。
「ギリギリでもいいので合格したい」
そういう人向けのプランである(分野別次第では40点以上が狙えないわけではない)。
駿台やパーフェクトの一問一答が未消化、ウォーク問などの分野別が手付かずで本試験を受けて玉砕するより、これらのプランに賭けてみるのも一つの手だと思う。
ちなみに一問一答集を終わらせる最終期限(タイムリミット)は、8月末である。
これまでの計画が崩れてしまった人、これから勉強をスタートさせる人は、これらの短期決戦用の教材(TAC又は日建)を用いて「勝利の方程式」を具現化させてほしい。
十分に合格を狙えるプランなのだから。