──はじめに
宅建の2023年版、まだすべての教材が出揃ったわけではないが、LEC『トリセツ』の売り上げが好調だ。
全体的には『みんほし』の方が優勢だが、こと宅建に関しては例年のような一人勝ちにはならない気がする。
ちなみに、みんほしとはTACの「みんなが欲しかった」の略称である。
実は最近まで、私は売り上げトップのみんほしを推薦教材に挙げなかった。
それには理由がある。
ご存知の方もいると思うが、私の勉強法に「一問一答」は欠かせない。
同じ出版社の同じシリーズの中に、一部の例外を除き、一問一答が含まれていないものは除外していた。
2022年版までのみんほしシリーズにはその一問一答が含まれておらず、これが私がテキストを推薦する上での大きなあしかせとなっていた。
ところが先日、そのみんほしシリーズから一問一答が発売された。
売り上げNo.1のみんほしに一問一答がラインナップされたのだ。
さすがにこれは放っておけない。
一問一答の発売日に合わせて書店に足を運んだ私は、その場でみんほしのテキストと一問一答を購入し、すでに手元にあるトリセツシリーズとの比較を試みることにした。
──テキストを比較する
どちらもオールカラーで、分冊できるセパレート方式の一冊本である。
【トリセツ 基本テキスト】
総ページ数は600ページ余り。
トリセツは初学者向けで、法律をかじったことがない人でも一から順に学んでいくことができる。
初学者向けではあるが、同シリーズをすべてマスターすれば合格ラインは超えてくると思う。
図や表も多いが、あくまでも本文がメインなので通読にも適している。
本文と図・表の割合はおよそ5対5。
情報量こそ絞られているが、その分、基本事項を徹底的にマスターできる。
文章も読みやすく、重要論点がダイレクトに頭に入ってくる感じだ。
LECの合格テキスト(全3冊)の情報量を10としたら、トリセツは5くらい。
それでも知識の土台となる基本レベルの情報だから十分に価値がある。
LECの友次先生の講義動画が全編45回分、スマホ等で無料で視聴できる特典があり、さらに2023年版から、巻末に別冊『重要論点集』も加わった。
重要論点集については、友次先生がyoutubeに動画を上げていたので、そちらを視聴していただきたい↓
【みんほし 宅建士の教科書】
ページ数は同じく600ページ余り。
情報量はトリセツよりやや多く、合格テキスト10に対して6くらい。
一見、初学者向けのテキストに思えるがそうではなく、ある程度基礎が固まってきた中級者向けである。
理由は、本文の文章量の少なさと図や表が異様に多いところだ。
本文と図・表の割合は3対7、いや2対8かも知れない。
特に「板書」と称したレジュメのような箇条書きが至る所にあり、本文はほんの気持ち程度に添えられている。
板書は手書き風のフォントでまとめられており、好みが分かれそう。
初学者がいきなりみんほしのテキストから入ると、この板書の前で二の足を踏んでしまうに違いない。
あたかも「さあ覚えろ!」と無言の圧力をかけられているかのようだ。
みんほしを途中で投げ出す人が多いのはそのためだろう。
ただ、文章よりもレジュメのような箇条書きの方が覚えやすいという人も中にはいるので、そういった人はみんほしシリーズを使えばいいと思う。
権利関係からではなく、宅建業法から始まっているところもみんほしシリーズの特徴の一つといえる。
──一問一答を比較する
どちらも過去問から抜粋した一問一答で成り立っている点がよい。
【トリセツ 頻出一問一答集】
トリセツの一問一答は、2022年版の727問から2023年版は800問へと若干グレードアップした。
一問一答の主流が600〜1000程度なので、問題数は及第点といえる。
またトリセツの一問一答には、主として2つの特徴がある。
1つ目は、通常の解説のすぐ上に「一行解説」が施されている点だ。
最初のうちは通常の解説もすべて読んでいくが、何度か繰り返しているうちに段々と煩わしくなっていく。
こんなときに一行解説が役に立つ。
設問を読んで○✕を答えるだけでは本当の力は身に付かないが、一行解説が瞬時に頭に浮かぶくらいまでやり込めば十分力になるからだ。
それを目指してほしい。
2つ目は、アプリを使ってスマホ学習ができる点だ。
トリセツの一問一答は大きくて持ち運びに不便だが、スマホにアプリを入れることで、外出先でも、またスキマ時間にも問題を解くことができる。
ただし、アプリの利用開始日は2023年4月1日である。
【みんほし 一問一答問題集】
トリセツとの決定的な違いは、本の大きさが一回り小さいことだろう。
トリセツシリーズがすべてA5サイズなのに対し、みんほしの一問一答はコンパクトなB6サイズである。
収録問題数は851問で、トリセツの一問一答よりやや多い。
しかし、みんほしの一問一答に「一行解説」はないし、アプリにも残念ながら対応していない。
本の大きさが小さめなことと問題数が若干多いことを除けば、トリセツの方に分があることは否めない。
だがみんほしのテキストを使っている人は、両者がリンクしていることもあり、同じみんほしシリーズの一問一答を使うべきだと思う。
──おわりに
初学者がまず最初にやるべきは基本テキストと四択過去問ではなく、基本テキストと一問一答である。
この2冊を完璧に押さえれば、十分な基礎力が養えるからだ。
初学者がいきなり四択過去問から入っても戸惑うだけ。
テキストを除けば、
一問一答→分野別過去問
の順に勉強していってほしい。
それこそが合格への黄金ルート、
“勝利の方程式”
に他ならないからである!!
その全容は、次のブログ記事を読んでいただければ理解できるだろう。
▶問題別・宅建ピラミッド®
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/09/13/182840
この宅建ピラミッドを下から順に積み上げていけば、自ずと「合格」というゴールにたどり着く。
地道な作業かも知れないが、頑張ってピラミッドを制覇してほしい。
▶宅建公塾(ハム塾)
https://86juku.com/?page_id=42