──300時間or400時間?
2~3年前だったと思うが、ネットでこんな記事を読んだことがある。
「宅建合格に必要な勉強時間は、一般に100時間ほどだと言われていますが、、」
誰から聞いたのか、どこで調べたのか知らないが、今の宅建試験に、初学者がわずか100時間の勉強で合格できるはずがない。
仮に100時間の勉強で合格できるとしたら、他の上位資格の合格者か、大学の法学部生あるいはOBで、民法の勉強がほぼ必要ない人に限る(注・2020年以降は改正民法からの出題となるため、ある程度の勉強は必要となる)。
そうでない初学者が、宅建試験に合格するために必要な勉強時間は、一般的には「300時間」ほどだと言われている。
では、300時間の勉強をすれば、大抵の人が宅建試験に合格できるのだろうか?
ここでいう300時間というのは、ボーダーぎりぎりで受かる人の平均勉強時間だ。
300時間の勉強をすれば、あたかも誰もが合格できそうな錯覚を起こしがちだが、そうではない。ここを取り違えてはいけない。
はっきりとしたデータがあるわけではないが、仮に300時間の勉強で合格できる初学者は、恐らく5割に満たないだろう。
だからこそ私は、以前から、初学者が宅建試験に一発で合格するための勉強時間は
「400時間」
だと力説しているのだ。
それでも100%ではない。せいぜい7割といったところ。しかも「正しい勉強をした人に限る」といった条件付きである。
資格試験に100%はない。500時間以上勉強をしても、落ちる人は落ちる。しかし時間をかければかけるほど、合格の可能性が高まるのは間違いない。
努力が実を結ぶ試験だからだ。
やはり以前に、通算5000時間の勉強をして宅建に合格した人の記事を読んだことがある。まぁこれは極端な例ではあるが、時間を費やせば費やすほど、合格に近付けるのも確かだ。
300時間合格説に惑わされず、時間に余裕のある人は、400時間でも500時間でも、いやそれ以上に勉強していただきたい。
知っている人もいると思うが、ぎりぎりでの合格を狙うと落ちるのが宅建試験だ。
35点狙いで、本試験で35点を取れる人はほぼいない。大抵は、目標としている点数より3~5点下回ってしまうものである。
また合格のために、過去問は最低でも10年分はマスターする。10年分といえば500問だ。書店でよく見かける300問では不足する。
更に過去問は、9割5分以上正解するまで繰り返し何度でも解いてほしい。7割や8割の正解率では合格できないからだ。
その域まで到達できて、初めて合格ラインが見えてくる。ライバル達と競えるようになる。
どんなに忙しい人でも、合格のために400時間の勉強時間を確保し、過去問の正解率も95%以上に持っていく。
それが今の宅建試験に、初学者が一発合格するための最低限のノルマである。
──イチローから学ぶ
宅建のような国家試験の場合、質も大切だが、量はもっと大切だ。量が質を凌駕する!
かのイチロー選手もそうだった。
イチローといえば「天才」の代名詞が付くほど野球センスが優れているが、その天才イチローを作り上げたのは、質ではなく量であった。
イチローが小・中学生の頃、お父さんに連れられて近所のバッティングセンターに毎日のように通っていた。
そこでイチローのお父さんが、イチローのために、月の小遣い6万円をこのバッティングセンターに注ぎ込んだのだ。
毎日毎日、バッティングセンターに通うことでバッティングフォームが身に付き、これがベースとなって、その後のイチローのプロ野球→メジャーリーグでの活躍に繋がった。
まさに量の勝利である。
宅建試験もこれと同じで、質より量だと私は思っている。もちろん質も大事だが、今の宅建試験は、テクニックだけでは受からない。
どれだけの時間を勉強に注ぎ込んだか、どれだけ自分の血肉にすることができたか。それこそが大切なのだ。
宅建試験に落ちる人は、ほぼ例外なく勉強量が不足している。合格するために、貪欲なまでに勉強時間を確保してもらいたい。
300時間合格説や怪しげな受験テクニックに惑わされてはいけない。宅建試験に限っていえば、量より質ではなく、質より量である。
少なくとも私はそう信じている。
量をこなさなければ合格はない。このことだけは、肝に銘じておいてほしい。