──はじめに
先日、LECの福島先生から、『司法書士試験 社会人の時短合格術50』(中央経済社)をご恵贈いただいた。
ご著書は“レターパック”で私の自宅に届けられ、その日のうちに拝読させてもらった。
今回、福島先生へのお礼の意味も込めて、ブログ記事にさせてもらった次第である。
先生のご著書は全8章で成り立っており、そのうちの第7章は、司法書士試験の「科目別の正しい対策法」に関するもの。第8章は「未来像がモチベーションを高める」と題して、司法書士の実務などについて触れられている。
この2つの章に関しては、司法書士受験生にとっては非常に有益だと思う。他の資格試験の受験生の方々には、その2つの章を除いた1~6章までに役立ちそうなものが多くお勧めだ。
ここではその1~6章の中から、宅建受験生に役立ちそうなものをピックアップしてみる。
──第1章、第2章より
最初に目を引いたのは、第1章の02「短期合格に犠牲はつきもの」というフレーズだ。
私の場合、職場の友人との付き合いを犠牲にしたといえるが、福島先生は、合格するためにお酒、スマホ、ゲーム、テレビなどを断つことの必要性を説いておられた。
その後の人生がかかっていると考えれば、ある程度の犠牲は仕方ないのだろう。
04の「どんな教材も3回以上やる」というのも一理ある。どんなテキストあるいは過去問でも、1周では絶対にモノにできないからだ。
私の場合は、テキストは2周して、その後は過去問を解きながら、どうしても分からないときに辞書的に活用する方法を勧めてきた。
06の「1番つらいのがインプット期」というのも共感できる。中・高の定期テストと違って、ここからここまでが範囲といった限定的なものではなく、1冊(場合によっては3冊)すべてが範囲なのだ。内容的にも難しい。
最初のインプット期が特にキツい。キツいが、乗り切らなければ合格はない。
07の「とにかく先に進もう」も、まったくその通りである。多少分からないところがあったとしても、その度に立ち止まっていたのでは、いつまで経っても最後まで進めない。
最初からすべてを理解しようなんて虫のいいことを考えてはいけない。余程の天才でもない限り、そんなことはまず不可能だ。
いくらか疑問点が残っていたとしても、案外2周目以降で理解できるようになるもの。最後のページまで辿り着かなければ、その2周目以降がどんどん先延ばしになってしまう。
09、10では、宅建士からのステップアップとしての、行政書士や司法書士について述べられている。ここまでが第1章である。
そして第2章では、私の意見と被るところとそうでないところがあって、対比しながら楽しく読ませていただいた。
第2章のタイトルは、「短期合格者だけが知っている真実」となっている。
その11「テキストだけでは合格できない」は、まさに私の言わんとすることと同じだ。
▶テキスト至上主義の弊害®️
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/01/19/000450
テキストの内容が頭に入っているはずなのに過去問が解けない。そりゃそうだろう。テキストより過去問の方が、文章としての言い回しがずっと難しいからだ。
問題慣れしておかないと、本試験では思ったように得点できない。過去問演習とは、そういった文章を、難度の高い言い回しを読んで理解するための訓練の場でもある。
この過程をスルーしていては合格を勝ち取ることはできない。これは本当だ。
もちろんテキストの通読は必要だが、テキストは早い段階で見切りをつけ、あとは過去問(最初は一問一答)を解いていく過程で、分からないところを調べるために用いる。
辞書のような使い方をするわけだ。
また福島先生は、テキストと問題集の割合は3対7くらいだという。私も2対8ないし3対7としているから、大体同じくらいである。
そして14の「勉強時間は量より質」は、タイトルを見る限り、私が過去にブログの中で述べてきたものとは真逆である。
▶量より質か、質より量か?®️
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/01/17/000619
私はどちらも大切だと思うし、最終的には量をこなした方が合格に近づけるという考えだが、短期合格という点にスポットライトを当てると質がより大切になるのは否めない。
第2章の最後は、16の「情報を一元化する」である。福島先生は、テキストに書き込みをして情報を集約することをお勧めしている。
私の場合は、過去問の解説部分の余白に書き込みをして情報の一元化を図っていた。
──第3章~第6章まで
まずは第3章の「択一の正しい対策法」から、18の「過去問をリズミカルに解く」について。
問題文のひっかけ部分に下線を引くことや、解説部分の重要フレーズに意味などを追加することの重要性について述べられている。
そして立ち止まらずに、テンポよくリズミカルに問題を解くことを推奨している。
過去問をできるだけたくさん解き、ひっかけポイントを知ること、出題者の気持ちを理解できるようになることが大切であるという。
また第4章の24では、「模試でアドリブ力を養う」のタイトル通り、模試を受けることの意味が述べられている。時間配分の大切さ、初見の問題への対応力なども記載されている。
第5章は、「スランプを乗り越える」と題して、やる気が出ない時にどうするか、などのメンタル面に焦点を当てたものだ。
これについては、私も過去にブログ記事を残してあるので見比べてみてほしい。
▶やる気のない日の対処法®️
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/03/05/200354
さらに福島先生は、テキストがなくてもできるシャドートレーニングや、座ると眠くなる人のために「立ち勉」なるものを紹介している。
眠くて我慢できない時は、5分だけ寝ることやアイマスクの効用についても述べている。
ちなみに、ご著書と一緒にレターパックの中に花王のアイマスクも同封されており、福島先生の心遣いを感じることができた。
第6章は、「試験でベストを尽くすには」と題して、本試験前日のスケジュール表や当日の持ち物・心構えなどが綴られている。
32は、「前日は合否を分けない」のタイトル通り、前日の勉強は合否に影響を与えず、合否を分けるのは日常の勉強であるという。
ごもっともな意見だ。
前日は緊張して眠れないのが普通で、たとえ眠れなくても、目をつぶって寝転がっているだけでも案外休めている点も指摘している。
そして本試験当日は、公共交通機関に予期せぬダイヤの乱れがあることも想定し、早めに会場入りすることを促している。
ここまでが1~6章の概要といったところだ。
基本的には司法書士受験生をターゲットにした勉強本であるが、1~6章に限り、他資格の受験生にも役立つ本だと思う。
宅建受験生にもお勧めしたい良書である。