──分野別と項目別の違い
まず最初に、分野別と項目別の違いを説明しておきたい。分野別とは、簡単にいえば「大きな分け方」で、項目別とは「小さな分け方」のことだ。
例えば宅建試験を、権利関係・宅建業法・法令上の制限ほか3つに分けるのなら、それは「分野別」である。さらに権利関係を、制限行為能力・意思表示・代理・相続、、のように次の段階に小分けしたものが「項目別」ということになる。
今回の「宅建試験の項目別出題数」は、小分けした項目ごとの出題数を、12年前の平成20年度まで遡って調べ、その項目名と出題数をセットにしてまとめたものである。
ただ注意してほしい点もある。宅建試験は四択問題だが、一つの問題がすべて同じ項目の肢で成り立っているとは限らない。
その場合、正解肢を導き出すためのキーセンテンスとなる肢が一つでもあれば、出題されたものとしてカウントし、キーセンテンスにならないような肢ならばカウントしないことにした。
また権利関係の民法部分で、法改正により問題が成り立たなくなったものもカウントしていない。そのへんは御容赦していただきたい。
以下、駿台の『速攻テキスト』と『一問一答』を使用している人の便宜を考え、速攻テキストの目次に記されている項目に「過去12年間の出題数」を併記していく方法をとった。
出題頻度が21回以上の項目は赤色、12~20回の項目は青色、5~11回の項目は水色にした。
──第1部 権利関係
① 制限行為能力 5
② 意思表示 6
③ 代理 9
④ 相続 12
⑤ 物権変動 5
⑥ 不動産登記法 12
⑦ 所有権(1)・共有(1)・区分所有法(12) 14
⑧ 担保物権(抵当権12、その他3) 15
⑨ 債務不履行 2
⑩ 連帯債務(1)・保証債務(3) 4
⑪ 売買 7
⑫ 賃貸借 6
⑬ 借地借家法(借地11、借家13) 24
⑭ 不法行為 6
⑮ 時効 6
⑯ 債権譲渡 4
⑰ 弁済と相殺 3
⑱ 契約の効力 1
⑲ 委任 1
⑳ その他(カウントしない)
*⑦の共有と区分所有法、⑫の賃貸借と⑬の借地借家法はセットで覚えることをお勧めする。
──第2部 宅建業法
① 宅建業って何だ 6
② 宅建業の免許制度 31
③ 宅建士って何だ 13
④ 宅建士登録の基準とは 1
⑤ 営業保証金と保証協会 22
⑥ 媒介契約(12)・重要事項説明(28)・37条書面(20) 60
⑦ 業務上の規制(20)・報酬の制限(13) 33
⑧ 8つの「自ら売主」規制 56
⑨ 監督処分(10)・罰則(2) 12
*住宅瑕疵担保履行法は⑧の中に含めてある。
──第3部 法令上の制限
① 都市計画法 24
② 建築基準法 24
③ 国土利用計画法 9
④ 農地法 12
⑤ 宅地造成等規制法 12
⑥ 土地区画整理法 12
⑦ その他の法令 4
──第4部 税・その他
① 税法(不動産取得税5、固定資産税6、その他の税14) 25
② 不動産の鑑定評価 5
③ 地価公示法 7
④ 住宅金融支援機構 12
⑤ 不当景品類及び不当表示防止法 12
⑥ 土地(12)・建物(12) 24
*②の不動産の鑑定評価と③の地価公示法のうち、毎年どちらかが出題される。また⑥の土地と建物は私的には分離させた方がよかったと思う。
最後に、赤文字の頻出項目だけを抜き出して順位を付けて並べておきたいと思う。これを見れば、宅建試験の頻出項目は一目瞭然であろう。
──項目別出題数ベスト10
❶ 媒介契約・重要事項説明・37条書面 60
❷ 8つの「自ら売主」規制 56
❸ 業務上の規制・報酬の制限 33
❹ 宅建業の免許制度 31
❺ 税法 25
❻ 借地借家法 24
〃 都市計画法 24
〃 建築基準法 24
〃 土地・建物 24
❿ 営業保証金と保証協会 22
これらの項目はすべて重要だが、❶~❹の宅建業法の項目だけで50点中「15点」分もある。❶~❿までだと「27点」となり半分の25点を優に超える。
補足だが、❶はいわゆる3大書面で、❷は8種制限のことである。この2項目だけでも「9~10点」分あり、確実に抑えておきたい最重要項目だ。
もう一つ言うと、これに加えて青文字の項目までマスターすれば「37点」を超え、それだけで一昨年の過去最高の合格基準点に届いてしまう。
頻出項目を抑えることがどれほど重要か、少しは理解していただけたであろうか?