宅建・史上初の小学生合格者の父による宅建合格ブログ

史上初の小学生合格者(当時12歳/小6)の父による宅建合格ブログです。これから宅建試験にチャレンジする方々に、最短距離で合格を勝ち取るためのノウハウを提供します。勝利の方程式&95%理論の提唱者!!

周辺知識について®

──周辺知識は必要か?

ほんの10数年前までは、宅建は過去問だけで合格することが可能だった。

ところが近年の宅建試験では、過去問だけでは不足するので「周辺知識の補充」が必要だという。

過去問を解くだけでは知識が点にしかならず、それを線や面に拡張していかないと合格点がとれなくなっている、という理屈だ。

ある程度は正しいと思うが、過去問をマスターすれば、本試験での高得点はムリでも合格点を超えることは今でも可能だろう。

その根拠の一つに、正解率50%以上の問題をすべて解ければ合格できる、というデータの裏付けがある。

過去に出題実績のない論点で、全受験生の50%以上が正解する問題などそうそう見当たらないからだ。

しかしギリギリ合格では心許ないので周辺知識の補充自体は否定しないし、できるなら補充はした方がよい。

では、その周辺知識の補充は一体どのレベルまで必要なのだろうか?

過去問を解くたびにテキストを開き、該当する箇所をくまなく読み込む。

なるほどこの方法ならば、確かに周辺知識は得られるかも知れないが、如何せん時間がかかりすぎる。

ならばいっそのこと、最初からテキストを読み込んだ方がマシであろう。

ただ過去問を学習の中心におく勉強法には、勉強時間を大幅に削減できるというメリットがある。

最初からテキストを丁寧に読んでいく学習ではそれは難しい。

あくまでも私の主観だが、一問一答や四択過去問を解いていく過程で、その解説部分をしっかり読み込む。

これである程度の周辺知識を補充することは可能ではないか?

もちろん、それで足りなければテキストに戻って該当箇所を読み込む必要はある。でもそれは限定的だ。

この方法ならば、それほど大幅な時間のロスにはならないはず。

また過去問集と違って、テキストには図や表がふんだんに使われており、視覚的にも記憶に残りやすい。

テキストのこういうところは活用した方が良いのかも知れない。

──周辺知識の定義

Twitterやyoutubeでも、周辺知識という言葉は普通に使われている。

それでは一体、周辺知識の“定義”とは何なのか?

どこからどこまでを周辺知識と呼んでいるのだろうか?

一説には、過去に本試験で出題されたことがないがテキストには記載されているものをそう呼ぶらしい。

よってテキストに記載がないものは、そもそも周辺知識でさえない。

言い換えれば、周辺知識=基本的な知識であって、高難度の知識や重箱の隅をつつくような細かな知識をそう呼ぶのではないということだ。

この点はきちんと把握しておきたい。

そして周辺知識を意識的に取り入れる時期は、ある程度の過去問学習を終えてからということになる。

つまり最初から「周辺知識!」と躍起にならずに、軽くテキストを読んだら、すぐさま一問一答を解いて解説を読む。その方法でとりあえず最後まで通し、何度か周回させる。

初期の段階では、一問一答のマスターに全力を注ぎ、95%以上の正答率を達成するまでは、問題と解説の理解に終始する。その際、周辺知識のことは特に意識しなくてもよい。

95%以上が合格ゾーン®️
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/14/202428

塾や予備校に通っている人ならば、カリキュラムに沿って授業を進めていくことで、自然と周辺知識も身に付いていくに違いない。

こういった点は、資格スクールならではのメリットだろう。

そうでない独学者の方は、まずは一問一答を解き、その解説を理解することを優先する。

この段階で、答の解説部分以外の周辺知識は必要ない。

独学者が解説以外の周辺知識に手を広げるのは、一問一答→分野別過去問とコマを進めて、それらの正答率・正解率が95%を超えてからで十分だ。

95%をクリアした時点で、少なくとも合格ライン付近にいるものと思われるからである。

そして、ここで初めて、点数をいくらかでも上乗せするために周辺知識を吸収していくことになる。

過去問にはない基本的な論点を、可能な限り取り入れていくのだ。

それは3点かも知れないし、5点かも知れないが、周辺知識というのは、過去問+α の“α”の部分を充実させていくことに他ならない。

+α である以上、過去問のマスターがその前提条件となる。

まずは過去問ありき、、

これだけは忘れないでほしい。

不動産キャンプ
https://ioecu5ft.autosns.app/a/cmZLjPNo7h/tVtz

にほんブログ村 資格ブログ 宅建試験へ
にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村


実力を可視化する®

──暗記ペンは有効か?

世に“暗記ペン”というものがある。

教科書の重要語句に赤色でマーキングして、緑色の透明シートを上から被せるとその語句が黒くなって見えなくなる、というもの。

緑や青でマーキングし、赤色の透明シートを被せるタイプのものもある。

ゼブラから出ている「チェックペン」がその代表といって良いだろう。

私の少年時代にそんな便利なものはなく、教科書の重要語句をまずノートに写し、その後に2Bの鉛筆で教科書の用語を塗り潰していく。

そして重要語句が黒く塗り潰された教科書を読みながら、ノートに書き写した用語をしおりで隠して覚えていく、という方法をとっていた。

手間はかかったが、この方法で定期テストは何とか乗り切ってきた。特に地理や歴史といった社会科で、その効果は最大限に発揮された。

英語(主に英単熟語)や理科でもこの方法は有効だったが、数学や国語ではあまり役に立たなかった。

論理的な思考力を要する教科には不向きなのだろう。そういう教科では、むしろ問題演習の方が効果的だった。

──各分野のイメージ

社会科の場合、暗記ペンで塗り潰したところはある程度の正答率を出すことも可能だ。できなかった用語の左上にレ点でも付けておけば、そのページの正答率などすぐに出せる。

宅建のテキストはどうだろうか?

以前に私は、Twitterに次のようなツイートをしたことがある。

半分くらい遊び感覚でツイートしたものだが、タイプの異なるものを無理やり英・数・国・理・社に当てはめるとこんな感じになる。

ただ業法=社会だからといって、テキストの業法分野に暗記ペンを使用しても効果は少ない気がする。社会科と違って、ダイレクトに用語を答えさせる設問が皆無だからだ。

時間をかければかけるほど実力が付くという意味で業法=社会なのだが、中・高の社会科と宅建の業法とでは試験の問われ方自体が異なるのだ。

近年の宅建テキストはカラフルなものが多く、暗記ペンは使いにくい。

2色刷りのテキストであっても、本試験で用語を答えさせるような問題が皆無である以上、暗記ペンはあまり効果的とはいえない。

もちろん法律用語自体は覚える必要があるが、それも暗記ではなく、きちんと意味を理解しなければならない。

とはいえ、35条や37条書面のように、覚えることが密集しているところでは暗記ペンは有効なのかも知れない。

要は、使い方次第なのだろう。

──実力を数値化する意義

テキストを読み込めば実力は付くだろうが、それだけでは、今の実力を判断することはできない。

各分野の小項目を読み終えたら、すぐさま並行して該当箇所の一問一答(過去問)を解くようにする。

テキストの進捗状況は、一問一答の正答率で確かめることができるのだ。

最初は正答率が50%でも、繰り返しているうちに正答率も70%→80%、そして90%→95%と上昇していく。

これが数値化であり可視化なのだ。

こうやって正答率が段々と上がっていけば、モチベーションだって維持できるはずだ。

正答率が95%以上になれば、現実的に合格が視野に入ってくる。

漠然とテキストを読んでいるだけでは、この数値がいつまで経っても見えてこないから、実力が付いているのかどうか不安になる。

実力が可視化されないまま直前期を迎え、満を持して解いた模試が20点とかだったら目も当てられない。

そうならないためにも、早めに自分の実力を知っておく必要があるのだ。

まずは一問一答で自身の実力を測り、そこから限りなく100%の正答率に近付ける努力をする。

テキストと一問一答を終えたら、次は分野別過去問だ(勝利の方程式)。

勝利の方程式とは?®
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/11/011433

正答率を弾き出すことによって、今の実力が判る。立ち位置が把握できるようになる。

これこそが「実力を可視化する」理由であり、意義でもあるのだ。

テキストだけでは可視化できないし、実力が見えてこない。

テキストが不要だと言っているのではなく、テキストと過去問はセットとして捉える。テキストだけの勉強がダメだと言っているのだ!

模試を除けば、一問一答の正答率、分野別過去問の正解率が日々の実力を知る尺度となる。

これらの正答率・正解率がともに95%を超えれば、実力が完成の域に近付いてきたことを意味し、合格圏内に入ったことを実感できるだろう。

不動産キャンプ
https://ioecu5ft.autosns.app/a/cmZLjPNo7h/tVtz

にほんブログ村 資格ブログ 宅建試験へ
にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村


受験に向けての心構え

──短絡的な情報に惑わされるな

SNSなどに流れてくる情報に、宅建は

「100時間の勉強で合格できる」

「1ヶ月前から始めれば大丈夫」

などといったものがある。

どこまでが真実かは分からないが、少なくとも法律の初学者が、この時間(期間)内で一発合格するのはほぼ不可能と思ってよい。

権利関係のマスターだけで、それと同等か、それ以上の時間がかかるからだ。

これで合格が可能なのは、偏差値が高い大学の法学部出身か、司法試験の短答や司法書士試験に合格しているなど、民法の学習に時間を割く必要のない一部の受験生に限る。

上記のような情報を、部分的に参考にする程度ならまだしも、これからの学習の指針とすべくオールインしてしまうのはまずい。

仮にそれが真実であったとしても、合格者の1%とか、そういった特殊な例なのだ。一般の受験生が真似できるものではない。

通常、初学者が宅建合格に必要な学習時間は、少なく見積もって300時間。私は、過去のブログの中で400時間を主張している。

一日2時間で半年ちょっと。これが標準的な宅建合格に必要な学習時間だと思ってほしい。

4月1日から勉強をスタートさせると、丁度これくらいの時間になる(10月試験の場合)。

──たとえ少しでも毎日勉強する

私の経験上、2日以上勉強しない日が続くと、学習のリズムが崩れる。

一週間に1日だけ、勉強が順調に進まなかったときのために予備日を設けるのなら良いが、基本的には毎日続けてほしい。

継続は力なりというが、その通りである。

継続は力なり®️
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/01/29/001837

一日2時間以上が理想だが、超絶忙しかったり、体調の悪い日だってある。そんな日でも、何とか一日30分だけは勉強した方がよい。

私の場合、風邪で熱が38℃あっても、一日30分の勉強だけは死守した。

そして、その日の不足分は、週末の予備日で埋め合わせする。そのための予備日である。

ただし一日2時間だから、単純に週に14時間やればいい、というわけではない。平日にまったく勉強せずに、土日に各7時間ずつ、計14時間やれば同じ、とはならないのだ。

勉強にはリズムがあるから、そんな偏った学習では途中で頓挫するのがオチである。

とにかく2日以上の空白期間を作らない。これが3日、4日、、一週間となれば、リセットしてまた最初からやり直しである。

こんなんで合格できるはずがない。

極端な話、毎日勉強を継続できる人は合格し、できない人は不合格となる。

こう結論づけても過言ではないと思う。

──途中で教材を買い換えない

最初にこれを使うつもりで用意した教材は、途中で買い換えない方がよい。あまりにも自分には合わないと思った場合に限り、使い始めて2週間以内ならば買い換えてもいいと思う。

ただし、その時期が4月や5月ならまだしも、夏以降の買い換えは御法度である。

何がよい教材かを、早い段階で見極めることも大切だ。そのためには、ある程度の情報収集能力も必要ということだろう。

勉強期間中に、SNSにどっぷりというのはお勧めできないが、早い時期に、SNSで情報を収集することは十分に意義のあることである。

メイン教材を早い段階で決定し、あとはそれを極められるくらいに使い倒す。途中、隣の芝生が青く見えるかも知れないが、他人は他人、自分は自分である。

最初に決めた教材を、きちんと消化できるまで使い続けることも力だし、才能だと思う。

他人が使っている教材に頻繁に目移りするようでは、合格は遠のくばかりである。

──一問一答のマスターに全集中

私は自身のブログの中で、一問一答の重要性を何度も説いてきた。一問一答のマスターこそが短期合格のカギなのだと、、

四択の過去問を、一肢ずつ一問一答のように解いていくことも可能だが、できれば一問一答集として編集されている教材を使ってほしい。

というのも、四択の過去問には超レアな肢が混じっていることがあり、必ずしもすべての肢が重要とは限らないからだ。

それならば最初から、頻出かつ重要な肢のみで構成された一問一答集を使った方がよい。

一問一答は、単に正誤の判定をするだけではなく、なぜ正しいのか、どこが誤りなのかを明確にしておく必要がある。

誰かに説明できるくらいに、、

そこまで出来て、そのレベルにまで到達して、初めて一問一答を制したと言えるのだ。

とにかく一問一答の精度を高めて、最低でも正答率95%以上、できれば100%にする。そうすれば、次の四択過去問(分野別)への移行がスムーズに進む。怖いくらいに、、

一問一答を制することができれば、ほぼ8割方合格したようなものである。一問一答をマスターした人が、次の四択過去問ができなくて挫折したという例を私は知らない。

私が使っていたのは『パーフェクト宅建の一問一答』だったが、これをマスターした後に『ウォーク問』を初見で解いたときの正解率が、9割に達していたことは伝えておきたい。

時間比率でいえば、一問一答が7で、四択過去問が3といった感じだ。いや、私の場合、8対2くらいだったかも知れない。

それくらい一問一答が重要なのだ。

私のブログの読者の一人が、昨年、私と同じ勉強法で一問一答を消化したあとに分野別過去問に移ったら、初見の正解率が9割だったとブログのコメント欄で教えてくれた。

私とまったく同じである。

違いがあるとすれば、一問一答と分野別過去問が日建学院の書籍だったということ(注・LECのウォーク問も並行して使用した模様)。

ちなみにその読者の方は、昨年の10月試験を受けて、43点で合格したらしい。

一問一答のあとに分野別過去問に移る勉強法、すなわち「勝利の方程式」こそが、私が受験生の皆さんに一番に伝えたかったことである。

勝利の方程式とは?®️
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/11/011433

この読者の方も、その勉強法で合格した。

私や息子の健斗もそうだが、これを実践して合格した人たちが他に何人もいる。

まだまだ絶対数は少ないが、この勉強法(勝利の方程式)は間違っていない、いや正しかったことの証左だと私は思っている。

不動産キャンプ
https://ioecu5ft.autosns.app/a/cmZLjPNo7h/tVtz


宅建士 出るとこ集中プログラム

──吉野先生からのメッセージ

3月3日の午前、吉野塾の吉野先生ご本人から私宛にDMが届いた。

「ご迷惑でなければ、摂書(宅建士 出るとこ集中プログラム)をお送りさせて頂こうかと思うのですが、いかがでしょうか?」

突然のご連絡に私は驚いた。実は昨年、書店で吉野先生の著書を手に取り、ギリギリまで買おうかどうか迷ったことがあったのだ。

f:id:takkensainensyou:20210309210400j:plain

吉野先生と私は、Twitterで相互フォローになってから一年半ほどになる。私のブログ(史上最年少合格へ⑦)を読んでくれ、メッセージをいただいたことがきっかけだった。

そんな吉野先生から、ご自身が執筆された『宅建士 出るとこ集中プログラム』の2021年版を送ってくれるというのだ。吉野塾のメインテキストでもあるらしい。

私は快く承諾し、私の住所と氏名をDMで吉野先生に伝えた。まだ発売前だったので、納品され次第、郵送していただけるとのことだった。

この件を「私のブログで紹介させていただくことは可能でしょうか」という私の要望も快く聞き入れてくださり、今回、ブログ記事を手掛けることになったわけだ。

──シンプルかつ無駄のないテキスト

3月8日(月)の夜7時ごろ、自宅に帰った私は、郵便受けに荷物が入っていることを確認。

家の中で封を開けてみると、そこには吉野先生のA4用紙のメッセージと共に『宅建士 出るとこ集中プログラム』の2021年版+吉野塾のミニタオルが入っていた。

f:id:takkensainensyou:20210309115350j:plain

早速、吉野先生にお礼のメッセージを送り、ご著書を拝見することにした。表紙を開くと、そこには「パパリンさんへ」で始まる吉野先生直筆のサインが記されていた。

f:id:takkensainensyou:20210309115432j:plain

この先のページは、著作権の問題があるので画像はお見せできないが、「本書の使い方」と題して、直近5年間の宅建試験で『宅建士 出るとこ集中プログラム』を利用した場合にどれだけ得点できたかが箇条書きされていた。

そのすべての年度で、40~42点の得点がデータ上可能だったことが記されていたのだ。これは大変興味深いデータだった。

というのも、通常の宅建テキストは、概ね500~700ページほどである。対して『宅建士 出るとこ集中プログラム』は、それらよりはるかにシンプルで340ページしかない。

この分量で、40点以上得点できる情報量が収められていることが凄いのである。

かといって、細かい記述がところ狭しとぎゅうぎゅうに敷き詰められているわけではない。他のテキストと比べても、1ページあたりの記述量はどちらかというと少ない方だ。

にもかかわらず、なぜこの情報量で40点以上の得点が可能になるのか?

それだけ試験に出るところに特化し、無駄な記述を極限まで削ぎ落としたからに違いない。まさに「出るとこ集中プログラム」である。

全部で66セクションで成り立っているが、各セクションの終わりに、3~5問程度の重要過去問から抜粋した「◯✕一問一答」が置かれていて、知識の確認に役立つよう工夫されている。

A5サイズで、黒と青の2色刷りだ。

──過去問学習のデメリット

近年の宅建試験は、過去問演習だけでは合格は厳しいと言われる。それだけだと知識が断片的になり、どうしても抜けが生じてしまう。

だからテキストをしっかり読み込んで、過去問で問われた論点だけではなく、その周辺知識も身に付けなければならないのだと。

だがここで一つの疑問が生じる。過去問中心の学習では、確かに抜けが生じてしまう。しかしその抜けというのは、そんなに高度なものなのか。基礎レベルを超えたものなのか?

例えば、合格するためには1~10までの知識が必要で、過去問で1~3、5~7、9、10の情報が得られたとする。この場合、足りない知識は、4と8ということになる。

その4と8の知識というのは、実はそれほど高度なものではない。ほとんどのテキストに記載されているような基礎知識に過ぎないのだ。

そのことに気が付けば、過去問中心の学習をしてきた受験生がやるべきことが見えてくる。

分厚いテキストを隅々まで読み込むような学習はまったく必要なく、もっとベーシックで厚みのないテキストで基礎知識を補完する。それで4と8の不足分は十分に補えるのだ。

そして、その条件に最もふさわしいと思われるテキストが、吉野先生の『宅建士 出るとこ集中プログラム』なのである。

時間に限りのある受験生にとって、他の市販テキストは、費用対効果の面からみてもクエスチョンマークが付く。もちろん調べるために用いることは有益だが、通読には向かない。

そもそも、500ページ以上ある宅建テキストを、何度も通読できる受験生はほとんどいない。だから必然的に、過去問に比重を置いた学習にならざるを得ないのだ。

その点、『宅建士 出るとこ集中プログラム』ならページ数が少ないため、何度でも周回させられる。通読が苦行ではなくなる。

現在、一問一答や分野別過去問を学習する傍らに使っているテキストは、そのまま使った方がよい。両者がリンクしているのなら尚更だ。

しかし過去問学習が仕上がってきた段階で、過去問の抜けを埋め合わせするためにテキストを通読しようとした場合、分厚いテキストでは荷が重いし、かかる時間も膨大だ。

合格者と不合格者の違いは、難問が解けたか解けなかったかではない。いかに基本的な問題を得点できたかどうか、である。

基本問題を取りこぼさなかった人は合格し、取りこぼした人は不合格となる。だからこそ『宅建士 出るとこ集中プログラム』のように、基礎分野に特化したテキストに価値があるのだ。

吉野塾の塾生だけではなく、一般の宅建受験生にもお薦めしたいテキストである。



分野別過去問集(2021)

──はじめに

年度別過去問集の市販本は、ほとんどの場合、10~12年分の過去問が収められている。数にして500~600問(題)くらいである。

対して「分野別過去問集」は、理由は不明だが二極化が進行中である。11~13年分の大容量タイプと、5~6年分のコンパクトタイプだ。

大容量タイプは、収録問題数が550~650問と充実しており、コンパクトタイプは、250~300問と大容量タイプの半分ほどである。

中間の7~10年分が見当たらないが、これは不思議な現象だと思う(昨年は日建の『どこでも過去問』3冊が直近10年分の過去問を収録していたが、今年から300問へと数が減った)。

かねてより私は、分野別でも10年分以上の問題数は必要だと訴えてきたので、大容量タイプを中心に解説していきたい。

このタイプの分野別過去問集は、メジャーなものは現在3種類しかなく、既出の「一問一答式を斬る」に倣って◎◯△を付しておいた。

f:id:takkensainensyou:20210305100537j:plain

──大容量タイプをランク付け

出る順宅建士 ウォーク問 過去問題集❶~❸ (東京リーガルマインド/LEC)

言わずと知れた分野別過去問集の最高峰『ウォーク問』である。❶権利関係が169問、❷宅建業法が180問、❸法令上の制限・税・その他が201問で、合計550問の過去問が収めてある。

直近10~12年間に縛られず、平成以降のすべての過去問の中から、外すことのできない頻出・重要問題をピックアップしてある。

奇問、悪問の類いは含まれていない。LECは法律系の大手予備校で、ウォーク問の歴史も30年以上と長く、信頼度はピカイチだ。

問題の重要度に応じて、特A、A、B、Cの4段階に分けられている。右ページに設問、その裏側が答えと解説というレイアウトで、そこだけは賛否が分かれるところだろう。

答えが✕の問題のみ、通常の解説の上に太字の黒文字で「一行解説」が置かれている。B6サイズの小型版で3分冊になっており、外出時の持ち運びにも便利である。単色刷り。

スッキリとける宅建士 論点別12年 過去問題集 (TAC出版)

一見、年度別過去問集のように見えるが「分野別過去問集」である。上記のウォーク問と違って1冊本だが、本を5つにばらすことができ、そのうちの1つは昨年10月の本試験問題だ。

上下2段で構成されており、左ページが設問で右ページが答えと解説である。ウォーク問と比べると、解説はややあっさりしているが、紙面は見やすい。一行解説はない。

直近12年分の過去問が、法改正によって成り立たなくなった権利関係の一部と一昨年以前の統計問題を除き、すべて収められている。

問題数は、昨年10月試験分を含めて約580問。A5サイズの2色刷り。

上記『ウォーク問』のレイアウトに違和感を覚えた人は、こちらを使っても良いと思う。1冊本なのに、問題数はウォーク問より若干多い。

過去問宅建塾❶~❸ (宅建学院)

テキストに『らくらく宅建塾』を使用している人は、分野別にこちらを選択しても構わないと思う。一応、両者はリンクしているからだ。

左ページに設問、右ページに答えと解説というレイアウトは上記TACと同じだが、上下2段にはなってなく、見開き2ページで問題1つ分という構成である。2色刷りで一行解説はない。

TACと同じA5サイズではあるが、分野別に3冊に分かれている。収録問題数は3冊とも200問余りで、合計では約650問と一番多い。

ただ本の大きさと収録問題数の多さからくる外観上の威圧感があり、途中で挫折する人も少なくない。解説部分に妙な語呂合わせが載っているなど、らくらく信者以外は使いにくい。

──コンパクトな分野別過去問集

過去問5~6年分のコンパクトタイプは、時間のない人向けだろう。余裕を持って合格したいのなら、10年分以上は必須だと思う。

ただし、駿台かパーフェクトのように1,200問以上ある「一問一答集」をマスターした後なら、あるいは使用してもよいかも知れない。

一問一答800問→分野別過去問300問で合格する人もいるとは思うが、やや心もとない。さすがに40点以上での合格は厳しいかと、、

コンパクトタイプの代表的なものとして、ユーキャンのテーマ別(250問+実力チェック模試)や合格のトリセツ(300問)、みんなが欲しかったの論点別(約310問)などがあるが、私がオススメしたいのは次の3冊である。

わかって(合格)る宅建士 分野別過去問題集 (TAC出版)

収録問題数は305問、A5サイズの2色刷り。一行解説あり(権利のすべて+それ以外の一部)。

複雑な権利関係には、設問の下に「図解」が用意されており、理解の助けになる。また解説の下には「ここがポイント」と題して重要論点が整理されており、実践的だ。

どこでも学ぶ宅建士 テーマ別厳選過去問 (建築資料研究所/日建)

昨年まで『どこでも過去問』として3分冊で発売されていたが、収録問題数を480問→300問に減らして1冊本として再編集したもの。

問題数は減ったが「一行解説」があり、長所は引き継がれている。A5サイズの2色刷り。

パーフェクト宅建士 分野別過去問題集 (住宅新報出版)

有名な「パーフェクト」シリーズの分野別過去問集。300問あり、A5サイズの2色刷りだ。

上記2冊に比べるとやや地味だが、本来の解説とは別に、赤文字の「一行解説」が置かれるなど使い勝手はよく、歴史も古い。



時効の完成猶予と更新【権利】

──時効の完成猶予

下記のような“一定の事由”が発生すると、所定の期間、時効の進行をストップさせることができる。これを「時効の完成猶予」という。

 【一定の事由】

裁判上の請求
支払督促
和解・調停の申立て
破産手続きの参加など
強制執行
担保権の実行など
催告(内容証明郵便など)
仮差押え
仮処分
協議を行う旨の合意

これら①~⑥については、それらの権利が確定するまで、又はその事由が終了するまで(権利が確定されずに終了した場合は6ヵ月が経過するまで)は時効は「完成猶予」される。

また❼~❾については、その時から6ヵ月を経過するまで、❿は書面(又は電磁的記録)による合意の時から1年を経過するまでは時効は「完成猶予」される(❿については例外あり)。

──時効の更新

上記①~⑥の権利が確定し、又はその事由が終了したら、その時から新たに“時効の進行”が始まる。これを「時効の更新」という。

時効の残りの期間が進行するのではなく、リセットして、ゼロから新たに“時効の進行”が始まるのだ。

自らが債務を認めるなど権利の承認があれば、完成猶予がなくても時効は「更新」となる。このパターンは承認だけなので注意。

なお、上記❼~❿については「完成猶予」があるのみで、時効の「更新」はない。

──まとめ&一問一答

上記①~⑥は、完成猶予+更新、❼~❿は完成猶予のみ、承認は更新のみである。

*時効期間の満了時に、天災その他避けることのできない事変のため時効手続きを行うことができないときは、その障害の消滅から3ヵ月を経過するまで時効は完成しない。

記事が短めなので、最後に少しだけ行政書士試験用の「一問一答」を付しておきたい。

      ⇩    ⇩

⑴ 時効は、裁判上の請求によって更新され、その訴えにつき却下又は取下げがあっても、時効更新の効力に影響はない。◯か✕か?

⑵ 催告があったときは、その時から6ヵ月を経過するまでの間は、時効は完成せず、催告によって時効の完成が猶予されている間に再度催告がなされると、その時から6ヵ月を経過するまでの間、再度時効の完成が猶予される。◯か✕か?

⑶ 債務者Aの債権者Bに対する債務の承認によって被担保債権の時効が更新された場合に、物上保証人Cは、当該被担保債権について生じた消滅時効更新の効力を否定することはできない。◯か✕か?

⑷ 時効期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため、裁判上の請求等時効の完成猶予事由に係る手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から2週間を経過するまでの間は、時効は完成しない。◯か✕か?

【答】⑴ ✕ ⑵ ✕ ⑶ ◯ ⑷ ✕


不動産キャンプ
https://ioecu5ft.autosns.app/a/cmZLjPNo7h/tVtz



時効の完成猶予と更新【権利】|パパリン宅建士
#note「穴埋め問題」あります↓
https://note.com/paparingtakken/n/na4309672991b

12月試験の合格発表とその後

──令和3年2月17日

いつも自分のことのように、この日、この瞬間を待ちわびている。昨年の12月27日に行われた宅建試験の合格発表日である。

正式な発表は午前9時30分からなのだが、17日に日付が変わった直後に、住宅新報社が合格ラインや合格率をTwitter上にフライング発表することが恒例となっている。

5ちゃんねるでも、この瞬間はお祭り騒ぎだ。

16日の深夜、すなわち17日に日付が変わった直後の午前0時01分に、Twitterに次のような記事が住宅新報社から上げられた。

[速報]
不動産適正取引推進機構が本日発表いたしました令和2年度宅建建物取引士資格試験(12月実施分)の合格ラインは36問以上(登録講習修了者は45問中31問以上)です。受験者数35,258人に対し、合格者数は4,609人、合格率は13.1%。

合格ライン36問以上、合格率13.1%!!

「何この合格率の低さ、、」

私を含め、大方の講師陣は、合格基準点を37ないし38点と予想していたのでそちらも意外だったが、それに輪をかけて驚いたのは、なんといっても合格率の異様な低さ!

「これは何なんだ?」

私が最初に思った率直な感想である。

これについては、当日夜、宅建みやざき塾の宮嵜先生が「生放送質問会」の中で核心をついた分析をしておられたので紹介しておく。

https://youtu.be/3QSCpH7DTUM

12月試験は、受験率が64%しかなかった。つまり記念受験や合格に手が届きそうにない人が、受験自体を放棄したものと思われる。

年末の慌ただしい時期に加え、新型コロナの影響もあり、それらが追い打ちをかけた。

ということは全体的に受験者レベルが上がり、合格ライン付近にいつも以上のボリュームゾーンが形成されていた可能性がある。

通常、ボリュームゾーンは合格点付近、合格点の1~3点下あたりに形成されることが多い。

仮に35点にボリュームゾーンがあり、5%の受験生がそこに集中していた場合、36点が13.1%だから、35点だと18.1%となるわけだ。

宅建試験は1999年以降、合格率は15%以上18%未満の間で推移している。これまでは、合格点も必ずこの中に収まってきた。

ところが今回、この原則が崩れたとしたら?

13.1%も18.1%も、例年通りの枠(15%以上18%未満)に収まっていない。しかし、どちらかを選ばなければならない。

10月試験の合格点は、17.6%といつもより高めだった。12月試験を13.1%とした場合、2020年度の受験者数を合算して合格率を計算し直したら、16.8%となり、程よい合格率となる。

18.1%だったらこうはいかない。

あくまでも推測だが、これが12月試験の合格ラインが36問以上、合格率が13.1%になった理由ではないかと思われる。

こういった感じの分析だったのだが、皆さんはどうお感じになられただろうか?

この結果は、諦めモードだった自己採点36~37点の受験生には朗報だったに違いない。

──正式な合格発表とその後

令和2年度12月試験の正式な合格発表は、当日の午後9時半からとなる。住宅新報社のWebサイト上に、次のように公表された。

 不動産適正取引推進機構は2月17日、2020年度の宅地建物取引士資格試験(12月実施分)の実施結果概要を発表した。
それによると、合格者は4609人(男性2880人、女性1729人)で、合格率は13.1%だった。登録講習修了者の合格率は10.7%。受験者は3万5258人。
 合否判定は、36問以上正解(登録講習修了者は45問中31問以上)を基準とした。
 今年度の宅建試験は新型コロナウイルス感染症の影響により、試験場の確保が困難な状況だったため、10月18日と12月27日に分けて行われ、2試験の合計は、受験者数が20万4247人(前年度22万797人)、合格者数が3万4337人(同3万7481人)、合格率は16.8%、男性16.0%、女性18.6%(同17.0%、男性16.3%、女性18.5%)、うち登録講習修了者は19.4%だった。

2020年度の都道府県別の合格者の受験番号は、次のURLから見ることができる。

https://www.retio.or.jp/exam/pass/todoufukensentaku.html

合格ラインと合格率などが深夜にフライング発表されているとはいえ、まだマークミスをしている可能性がゼロではない。

本試験後で、一番ハラハラドキドキする瞬間である。自己採点が40点以上でも、稀にマークミスで合格できなかった受験生がいるからだ。

ともあれ、新型コロナの第3波で大変な中、しかも年末の忙しい時期に本試験を受け、見事合格を勝ち取った皆さんには敬意を表したい。

f:id:takkensainensyou:20210219105544j:plain

これで2020年度の宅建試験に関する行事はすべて終わった。合格した人は、登録実務講習を受けるなどして宅建士になるか、あるいは更に上の資格試験を目指すか、、

私的には、多少の費用はかかるが「宅地建物取引士証」を手にしてほしいと思っている。

仮に宅建士にならなくても、将来の保険として安心を得られるし、人としての信頼度が増すなど付加価値は大きい。

天才とは呼べないが、努力の証明にはなる。

f:id:takkensainensyou:20210218211203j:plain

*画像は以前に、Twitterのプロフィール写真に使っていたものを顔写真の上に被せたもの。通常、サングラス着用は認められていない。

合格は今後の人生のスタートラインであって、ゴールではない。

宅建試験に合格された皆さんは、そこに辿り着くまでの道のり・経験を活かし、今後は人生という荒野を切り拓いていってほしい。

皆さんには、それができると信じています。



5つの意思表示【権利】

──はじめに

意思表示による契約は、申込みと承諾によって成立する。ここでは意思表示に欠陥のあるものを5つ取り上げ、順に解説していく。

宅建試験での意思表示の出題率は概ね5割程度だが、権利関係の中では、比較的高い出題率といえる。

5つの意思表示のうち、心裡留保と錯誤、詐欺の3つで法改正があった。

特に錯誤は、条文の言いまわしがガラリと変わったので注意が必要だ。

無効と取消し、善意の第三者と善意無過失の第三者の違いもしっかり区別しなければならない。

売主と買主、貸主と借主は当事者の関係だが、これら以外の関係者が第三者である。また意思表示をした者を表意者と呼ぶこともある。

──心裡留保〔93条〕

Aが、売る気もないのに、Bに対して「マイホームを100万円で売る」という意思表示をした。

冗談だとしても、Bが真に受けて100万円を調達したのだとしたら、AはBにマイホームを100万円で売らなければならない。

これが「心裡留保」である。

心裡留保による意思表示は、原則として有効となる。

ただし、相手方Bが、表意者Aの意思表示が真意でないことを知り(悪意)、又は知ることができた(善意有過失)ときは、その意思表示は無効となる。

心裡留保の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

──虚偽表示〔94条〕

Aには多額の借金があり、債権者から土地を差し押さえられそうだ。

それを回避するために、Bと示し合わせて、Aの土地をBに仮装譲渡することにした。ほとぼりが冷めたら返してもらうつもりで、、

これが「虚偽表示」である。

相手方と通じてした虚偽表示(通謀虚偽表示)は無効である。

そして虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。登記の有無も関係ない。

その後、善意の第三者から悪意の転得者に土地が譲渡された場合も、この転得者は保護の対象すなわち善意の第三者と同じ扱いとなる。

悪意の第三者から善意の転得者に土地が譲渡された場合も、この転得者は保護の対象となるので注意。

──錯誤〔95条〕

Aは、豊島区に所有する甲土地を売りたかったのに、勘違いから文京区に所有する乙土地をBに売ってしまった。

これが「錯誤」である。

錯誤による意思表示は、それが法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる

例えば次のような場合。

❶意思表示に対応する意思を欠く錯誤
→甲土地と乙土地を間違えたetc.
❷表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤)
→近くに新駅ができると思ったetc.

動機の錯誤の場合、それが表示されていれば取り消すことができる。

ただし、表意者に重大な過失があれば、次の2つの例外を除いて取り消すことはできない。

❶相手方が表意者に錯誤があることを知り(悪意)、又は重大な過失(重過失)によって知らなかったとき。
❷相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。

錯誤による取消しは、善意・無過失の第三者に対抗することができない。善意の第三者ではなく、善意・無過失の第三者であることに注意。

──詐欺又は強迫〔96条〕

まず「詐欺」とは、人をだまして錯誤に陥らせ、それによって意思表示をさせること。

対して「強迫」とは、相手方を脅すなどして怖がらせ、強引に意思表示をさせることである。

詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる

相手方に対する意思表示について、当事者以外の第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り(悪意)、又は知ることができたとき(善意有過失)に限り、その意思表示を取り消すことができる

詐欺による意思表示の取消しは、善意・無過失の第三者に対抗することができない。

強迫による意思表示の取消しは、善意・無過失の第三者にも対抗することができる

──意思表示のまとめ

【心裡留保】

原則有効。相手方が悪意又は善意有過失の場合は無効。善意の第三者には対抗できない。

【虚偽表示】

原則無効。善意の第三者には対抗できない。第三者からの転得者がいる場合、第三者と転得者のどちらかが善意ならば転得者は保護される。

【錯誤】

取り消すことができる。表意者に重大な過失があれば原則として取り消すことはできない。善意・無過失の第三者には対抗できない。

【詐欺】

取り消すことができる。善意・無過失の第三者には対抗できない。

【強迫】

取り消すことができる。善意・無過失の第三者にも対抗できる。

不動産キャンプ
https://ioecu5ft.autosns.app/a/cmZLjPNo7h/tVtz

5つの意思表示【権利】|パパリン宅建士
#note 「穴埋め問題」あります↓
https://note.com/paparingtakken/n/nf9a5a2c156cf

LECオンラインショップ(E学習センター)

宅建教材をセレクト(2021)

──はじめに

一昨年、昨年と同様に、2021年も宅建試験の勉強の過程を「第一段階」と「第二段階」に分けて進めていこうと思う。

今から7月末までを第一段階、8~10月の本試験前までを第二段階とする。

私の勉強法を知らない方のために、それぞれの段階にどういう意図があるのか、またどんな教材を使用していくのかを説明していきたい。

私が提唱した勉強法に「勝利の方程式」というものがある。

勝利の方程式とは?
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/11/011433

過去問を学習の中心に置き、第一段階で「一問一答式」を、第二段階で「分野別過去問集」を用いる勉強法である。

分野別だけではなく、一問一答も過去問ベースとする。オリジナル問題はこれに含めない。

また、それぞれの問題集にリンクしたテキストも必要となる。テキストと過去問が、同一出版社のシリーズ化されたものがオススメだ。

私の宅建ブログも今年で3年目に突入するが、その勉強法の順序(勝利の方程式)には微塵の揺るぎもない。実際、この方法論に則って勉強されてきた方々の大半は合格している。

理論だけではなく、それを実践してきた受験生の多くが結果を残してくれた点は心強い。

まず一問一答で肢の一つ一つを丁寧に分析する力を養う。~以下と~未満は同じではない。こういった部分にも細心の注意を払って設問を読み取る訓練をする。

次に分野別過去問集だ。年度別ではなく、分野別であることがポイントである。

年度別過去問集の落とし穴
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/18/191642

分野別で4択の実践形式に慣れ、各項目を得点源レベルにまで引き上げる。この一問一答→分野別過去問の順に手を付けていく勉強法が合格への最短ルートとなる。

第二段階の教材は、LECの『とらの巻』と『ウォーク問』で決まりだが、今年から第一段階は、初学者向けの教材とリベンジ組向けの教材の2パターンに分けていきたいと思う。

数ある宅建教材の中から、私が書店に足を運んで時間をかけて選び抜いた独学用のツール(第一段階)をこれから紹介していく。

──第一段階の教材〔初学者向け〕

初学者向けのテキストとしては、TACの『みんなが欲しかった!宅建士の教科書』やLECの『宅建士 合格のトリセツ 基本テキスト』、宅建学院の『らくらく宅建塾』などがある。

しかし対応する一問一答との兼ね合いを考慮し、今年も駿台(日本経済新聞出版)の2冊をオススメ教材とすることにした。

一問一答は過去問ベースとし(予想問題は✕)、掲載問題数が1,000問以上あることを条件とする。ちなみに駿台の場合、一問一答の問題数は1,234問である。

・うかる!宅建士 速攻テキスト
・うかる!宅建士 一問一答+予想模試

これらの2020年度版は、法改正部分(特に民法)に誤植が多く、それが最大のネックとなっていた。日経の正誤表を見ても、速攻テキストで29ヶ所、一問一答+予想模試で20ヶ所もの誤りがあったのだ。

しかし今年(2021年度版)は大丈夫だと思う。実際、私が確かめたところ、2020年度版の誤植はすべて修正されていた。

これらを用いた勉強の進め方はこうだ。

まず速攻テキストの第1章「制限行為能力」を理解することを目的として読み、次いで一問一答+予想模試の第1章「制限行為能力」の問題を解く。

このとき、テキストに載っていない問題があれば、深追いせずに解説部分を読んで理解するように努める。

答のすぐ右側に、赤文字の一行解説が置かれているので、最低この部分だけは頭に入れておく。単に◯✕を答えて終わりにしてはいけない。

本編の解説部分まですべて覚える必要はないが、やはり赤文字に注意しながら読み込んでもらいたい。暗記ではなく理解が重要である。

ここまで終えたら、次に第2章「意思表示」の項目を同じように進めていく。その次は第3章「代理」、またその次は第4章「相続」というように、、

第1部の権利関係は全部で20章分あるが、根気よく続けていってほしい。

一問一答+予想模試の第1部・権利関係の最後に、4択の過去問が14題分置かれているが、ここは余裕のある人だけやれば良い(第2部~第4部も同じく)。

同様に、ページの最後の方に置かれている2回分の予想模試も、余裕のない人は手を付けなくて良い。一問一答をマスターすることがこの問題集の目的なので、そのへんは臨機応変に対応してもらいたい。

速攻テキストも一問一答+予想模試も、どちらも章分けの構成が同じで、第1部・権利関係が20章、第2部・宅建業法が9章、第3部・法令上の制限が7章、第4部・税その他が6章の全部で42章に分けられている。

一日1章を目標に頑張れば、一ヶ月半で1周できる計算だ。テキストの読み込みは2周までとし、3周目以降は一問一答に専念する。

その際、分からない問題があれば、速攻テキストを辞書代わりに使用する。

2周目は恐らく一ヶ月あれば足り、3周目以降は一問一答のみだから、さらに短縮できる。

7月までの間に、一問一答が5周はできるはずだ。それだけできれば、正答率も95%以上になっているに違いない。

95%以上が合格ゾーン
https://paparing-takkenshi.com/entry/2020/02/14/202428

そんな感じで駿台の2冊を進めていってほしい。第1部・権利関係の1周目が終わったら、そのまま第2部・宅建業法に駒を進めず、権利関係の2周目に入った方がいいかも知れない。

そのへんの見極めは各自で行ってほしい。記憶の定着が弱いと感じれば、権利関係を2周してから宅建業法へ移った方がいいだろう。

──第一段階の教材〔リベンジ組向け〕

昨年の本試験問題を解いて、30点以上とれた人は下記の教材を使った方が効率的だ。リベンジ組でも、30点未満の人は、上記の初学者向けの教材を使うことをオススメする。

駿台の2冊を用いれば、恐らく合格基準点近くまではいく。ただしマスターできたらの話だ。だがこちらの教材をマスターすれば、合格基準点の少し上くらいはとれるはず。駿台+3点といったところ。

初学者には少々難しく感じるが、リベンジ組には得るものが多いと思う。その教材とは、住宅新報出版から出ている次の2冊である。

・パーフェクト宅建士 要点整理
・パーフェクト宅建士 一問一答

まず要点整理の方だが、左ページが教科書的な意味合いを持ち、右ページに図表がまとめられている。

最重要語句が赤文字、重要語句が太字の黒文字となっており、メリハリのある学習が可能だ。

特に、業法の重要事項説明書や37条書面の記載事項、建築基準法の用途制限あたりの図表は、非常にうまくまとめられている。

私が昨年、ブログの「要点まとめ」記事を書き上げるのに随分と参考にさせてもらった。総ページ数も、400ページ強しかなく、通常の宅建テキストの3分の2程度である。

それゆえ密度は濃いが、、

対して一問一答の方は、問題数が1,283問と駿台のそれより若干多い。それでも2020年版は1,500問を超えていたのだから、大分スリムになったと思う。

単色刷りで、駿台にはあった一行解説もなく、初学者向きではない。その代わり解説は駿台と同等かそれ以上に詳しく、重要語句は太字になっているので視覚的にも分かりやすい。

当時、私が受験生だった頃に使っていた一問一答式はこれである。

これらの教材の使い方は、上記の駿台とほぼ同じだ。各章ごとに、テキスト→一問一答の順に手掛けていき、3周目からは一問一答だけに専念する。

やはりその際、分からない問題に出くわしたら、テキストに戻って調べれば良い。

駿台の場合と同様に、7月までに最低5周、正答率も95%以上にしておく。

駿台にしろパーフェクト宅建士の2冊にしろ、第一段階の学習においては、テキストではなく一問一答のマスターがカギとなる。

──第二段階の教材と総括

最初の方でも触れたが、第二段階の教材はLECの『とらの巻』と『ウォーク問』3冊である。

・どこでも宅建士 とらの巻
・ウォーク問 過去問題集❶~❸

「第一段階の後にまだ4冊もあるのか」

と思うかも知れないが、心配はいらない。メイン教材はウォーク問の方なので、とらの巻のマスターまで考えなくても大丈夫。

とらの巻は一度だけさらっと読んで、あとはウォーク問を解いていく過程で辞書的な使い方をすればいい。

しかも駿台もしくはパーフェクト宅建士の一問一答が完璧ならば、ウォーク問は最初から8割以上の正解率が得られる。これは本当だ。

昨年の合格者の中には、「正解率が最初から9割に達していた」という人もいた。

それだけ正解できれば、あとは残りの1~2割の間違えた問題を見直すのみ。だから第二段階の教材にそんなに時間はかからないのだ。

それほど第一段階で「一問一答」をマスターすることの意義が大きいということである。

総括すると、第一段階の教材は7月末までにマスターし、8月以降は第二段階の教材に移行する。その際、学習の中心に置くべきは、第一段階の教材なら一問一答、第二段階の教材ならウォーク問に代表される分野別過去問である。

そして、どちらも95%以上の正答率・正解率が得られれば、ほぼ合格したも同然だ(私は便宜上、一問一答を正答率、4択過去問を正解率と使い分けている)。

まず一問一答式のマスターを心掛け、次に分野別過去問集に移る。この学習の順序(勝利の方程式)こそが大切であり、最短ルートで合格を勝ち取るための秘訣に他ならない。

勉強法の概要はこんなところである。

あとはそれを実践するかしないか、継続できるかできないかは、皆さんが宅建試験に「合格したい」いや「合格するんだ」という思いの強さで決まるといっても過言ではない。



12月試験の合格点予想(2020)

──はじめに

12月27日(日)、コロナ禍で大変な中、今年2度目の宅建試験が行われた。

冬に行われた初の宅建試験。コロナ対策と寒さ対策をしなければならない過酷な状況。

そんな試験に果敢にチャレンジされた皆さんには、合否にかかわらず敬意を表したい。

さて、12月試験では、次の2つの点で10月試験とは大きく異なっている。

①5問免除者がほとんどいない。
②受験率が64%しかない。

まず①について。5問免除者の約98%が10月試験に集中したため、12月試験はほぼ一般受験生で占められた。

通常、5問免除者の方が合格率が高い。よって5問免除者の割合が高いと、全体の合格率が上がり、場合によっては合格点も繰り上がる。

10月試験が38点という高得点決着になったのも、その点も影響していると思う。免除者の割合も、約27%と例年よりずっと高かった。

次に②だが、コロナの第3波を恐れてか、通常約8割の受験率があるのに、12月試験では64%と前例がないほどの低受験率となった。

これにより合格基準点も跳ね上がり、39点ないし40点になるのでは?という意見もあるが、どうだろうか。

確かに、やる気のない人や記念受験の人が受験を放棄した可能性は高い。とはいえ、毎年合格を狙えるレベルの受験生は上位3割くらいだ。

12月試験で受験を放棄した人を除いても、残り5割以上の人たちは、残念ながら合格に手の届く位置にはいない。

それに一部早い段階で申し込みをしたのに12月に回された人は別にして、本当にやる気のある受験生は10月試験を受けたはず(もちろん例外もあるが)。

そういう点を加味すれば、受験率が低い=受験生レベルが高いと一概にはいえない気がする。

5問免除者が少ないことと相殺させても、全体の受験生レベルが10月試験より明らかに上になるようなことはないと思うのだが、、

──12月試験の難易度は?

それでは10月試験との難易度を比較しながら、分野ごとに分析していきたいと思う。

10月試験では、合格基準点38点・合格率17.6%だった。これと比較して、12月試験の合格基準点を予想してみる。

【権利関係】

10月試験も難しかったが、12月試験の権利関係は、それに輪をかけて難しく感じた。

捨て問ともいえるCレベルの問題が、問1、問3、問14と3つあった。問4と問8も、どちらかというと難問の部類に入る。

10月試験でも難問といえる問題は複数あったが、捨て問に分類されたのは問14の不動産登記法だけだ。

反面、易しい問題も3つほどあり、その難易度のギャップに戸惑いを感じた受験生も多かったのではないか?

【法令上の制限】

10月試験では、問15の都市計画法と、問20の土地区画整理法がC問題に分類された。

対して12月試験では、C問題は問20の土地区画整理法だけだった。C問題が一つ外れた分、12月試験の方がやや易しかったといえる。

【税・価格の評定】

10月試験で不動産取得税が出たから、12月試験では固定資産税(問24)。10月試験では不動産鑑定評価基準が出たから、12月試験では地価公示法(問25)という拍子抜けするほど当たり前の出題となった。

問23は、10月試験では印紙税だったが、12月試験では「登録免許税」だった。これも私がブログの中で予想した通りの出題であった。

12月試験のヤマ
https://www.paparing-takkenshi.com/entry/2020/11/19/180951

税・価格の評定に関しては、ほんの僅かに12月試験の方が難しい気もするが、ここは10月試験と12月試験はほぼ同難易度としておく。

【宅建業法】

業法の個数問題は、10月試験では4題だったのに対し、12月試験では5題となった。

明らかなCレベルの難問は、10月も12月もどちらにもなかったが、12月試験では、Cに近いBレベルの問題が一つあった。問32の個数問題だ。

個数問題を除けば全体的に易しく、多少細かい知識が必要な問題もあったが、18点以上は狙える内容だったといえる。

10月試験との比較でいえば、僅かだが12月試験の方が難易度は上だと思う。

【免除科目】

問46~49に関しては、10月試験も12月試験もどちらも易しく、差はほとんどない。ただし問50の建物の問題に関しては、10月試験の方が明らかに難しかった(C問題)。

問50は、12月試験ではAレベルだったので、免除は12月試験の方が易しかったといえる。

──12月試験の合格点を予想する

分野ごとに10月試験と比較して、12月試験の方が易しければ+(プラス)、難しければ-(マイナス)を付けて数値化してみた。

 権利関係 -1
 法令上の制限 +0.5
 税・価格の評定 0
 宅建業法 -0.5
 免除科目 +0.5

合計すると-0.5となり、僅かだが12月試験の方が難しかったことになる。

12月試験が、①5問免除者がほとんどいない(平均点が下がる)②受験率が64%しかない(平均点が上がる)を相殺させて影響力なしと考えれば、あとは本試験の難易度だけの問題となる。

12月試験の方がやや難易度が高く、その下げ幅を-0.5と仮定した場合、38-0.5=37.5点という点数が導き出される。

要するに 37ないし38点である。これを私の12月試験の合格予想点としたい。

もちろん外れる可能性もあるが、ダメもとだと思って今回はこれに賭けてみる。

f:id:takkensainensyou:20201228235733j:plain

スマホ対応!国家資格ほか資格取得なら 「SMART合格対策講座」